4月18日 芸協真打昇進披露宴 その13:引き出物

「さあ、引き出物をご紹介」
「どうでもいいですがねえ」
「まずは上左の絵」
「何です」
昇進披露宴の案内の表紙じゃ。もちろん、京鹿子娘道成寺をデザインしたもの」
「鹿の子だから」
「右
手ぬぐい
「鹿の模様だ」
「花のような絵柄はもちろん鹿の子絞りを意識したものじゃな」
「へえ」

「左は風呂敷
「これも小さい点が鹿の子絞り
ですね」
「分かるね」
「右は何ですか」
「これは携帯用のティッシュカバー
「本人をデザインしたものですか」
「子持ち真打ってのが売りになっちゃったからね」
「はい」
「最後に右の写真が引き出物のお菓子」
「あ、鹿の子餅だ」
「そう。柳昇師匠に弟子入りを志願した時、この銀座鹿の子餅を土産に持っていったから鹿の子という名前になった」
「え……そういえば、普通は師匠の名前の一字をもらったりしますねえ」
「大福じゃなくって良かったって、よく言っていた」
「はは」
「さあ、そういう訳で……」
「これで、今度こそ、本当に報告がおしまいですね」
「何を言っておる。これからじゃ」
「え……後は何が」
真打昇進披露興行が待っておる」
「あらら……まだ続くんだって」

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