8月17日 福島への旅:その2 奥会津・柳津

「今回の旅のメインは奥会津の建築を訪ねるというもの」
「建築ですか」
「実は道の駅が色々力を入れていて、数種類の紹介冊子も出ている。そこを中心に……福島といえば必ず2日目は喜多方だったから、今年は異色」
「大家さん、ほぼ毎年行ってますんで……
「最初の写真は道の駅『会津柳津』に隣接している斉藤清美術館。月曜日はお休み」
「あら、じゃあ中は見られなかった」
「それは、ほら……関東から芸術の先生がお越しになったから……ってんで開けさせて……
「ひどいね」
「はい、写真下の左側は、その道の駅
「いい雰囲気ですね」
美術館の向こうに只見川が流れていて、右の写真はそこから見た圓蔵寺
「え……ああ、橋の真ん中に建物が見える」

「ここでは『阿奈遠可志』を入手」
「何です、それ」
「古くから伝わる笑い話集じゃ。ただしエロしかない。エロといいながら、和歌の素養のある人が書いたものらしく、まさに文学といえるエロなのじゃ」
「よく分かりませんね」
「いずれ紹介しよう。さて、先ほど出た圓蔵寺が次の目的。こちらは1200年前に出来た寺で、仏の使いである牛を撫でると願いが叶うという」
「ああ、よくありますね」
「その元祖で、赤ベコはここから生まれた」
「へえ」
「高さ1.5mの赤ベコがあったぞ」
「写真は省略」
「今回はメインが建物なので……右は、そばの高台から見た寺の様子。ここは良寛さんの像があるというので立ち寄った。ここで道を聞いたら、詳しく教えてくれるどころじゃない、無料駐車場までの道筋を事細かに説明してくれた。下で駐車すると500円から千円なのを、タダで止められた訳じゃ」
「あいかわらず、みみっちい大家さんです」
「さあ、圓蔵寺の山門から本堂へ。こちらは、弘法大師が唐で修行をした折、三鈷(さんこ)という仏具と霊木を海に流した。それがそれぞれ日本に着いて……
「着くんですか」
「これは北朝鮮が海に捨てたものが全部日本に上がるから確かじゃな。ただ、不思議なのはいずれも太平洋側に漂着したこと」
「本当に不思議ですね」
「三鈷は紀伊国に着いて、これを祀ったのが真言宗総本山の高野山金剛峰寺
「へえ」
「木の方も那智に着いて、たまたま弘法大師が見付けて、今度は三つに割って再び海に流す。安房国(千葉)那智に流れ着いたので鴨川市小湊清澄寺の能満虚空蔵菩薩が、常陸(茨城)村松に着いたので東海村日高寺の大満虚空蔵菩薩が彫られた」
「すごい伝説ですね。みんなつながりがあるんだ」
「もう一つは何と、日本海に流れ、越後から只見川をさかのぼって、この地の漁師が拾い上げた」
「ええ……
「壊そうとしても壊れず、夢でお告げがあって、やはり近くに来た弘法大師が噂を聞き、ここへ来て自ら彫り上げたのが、ここのご本尊、福満虚空蔵菩薩
「説明が長いし……海からこんな山の中までのぼって来るなんて……
「仏の不思議な力じゃな」
「はいはい……で、そのご本尊は」
「残念ながら開帳されなかった。わしを誰だと思っているって言ったが、これはご住職にも許されていないというので……
「はい、大家さんの我が儘も、仏様には通じなかったようでございます」
「これから更に山を登りますが、それはまた次のページで」

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