9月18日 三平堂落語会

「さて、この日は東京しぐさアワードから移動して根岸の三平堂へ」
三平堂って」
「どうもすいません。初代林家三平師匠の自宅を改装したテーマパーク。毎週土曜と水曜のみ開館」
「週二回だけですか……それも日曜日ではない」
「ドーもスイませんという洒落じゃ」
「へえ」
「地下にご祝儀がごっそり隠れていたのがここ。先日道路工事をしたら、お札が出たという」
「それはやばいでしょう」
日比谷公園を取材したし、根岸界隈も回って来た」
「それはまた別のページでご紹介しております」
「さて、この三平堂では第3土曜日に落語会が行われているのです」
「下の写真に出ていますね」
「前座は林家豆平で『子ほめ』」
「あれ……これは確か」
「そう。この日、東京しぐさアワード歌奴が演じていたのじゃ。手順はほぼ同じ。さすがに真打との差は大きいが……まあ、これからの若者、温かい目で見てやろう」
「はい、その話題の三遊亭歌奴
「『片棒』をたっぷりと。特に口調を変えたりしないのに、3人の息子の性格が見えるのがすごいなあ」
「上出来ということですか」
「今日は歌奴に満足満足……本日はこれぎり」
「また……大家さん、続きがあるでしょう」
「あ、そうか……話をそらすなよ」
「そらしてないって……続いては、林家パーですよ」
「はい、AKB48でお馴染みの……」
「え……何です、それ」
「彼が48歳の時赤羽の48番地に引っ越した」
AKBは赤羽ですか」
「それで、本当は昨年が十周年だったが、今年になって同じ名前を使う偽物が出てきたというので、改めて十周年パーティを企画した」
「……どっちが偽物ですかねえ」
「で、出し物は『年蕎麦』」
「落語かよ」
「とんでもないなあ。ピンクの派手派手の着物で、途中までは『時蕎麦』」
「途中って……あ、じゃなくってだ」
「しっかり聞いてろよ」
「どっから脱線するんですか」
「誕生日が何月何日だから誰と一緒という話から、『5678、孫の年は』、『9つで』……よく分からない落語じゃな」
「分からないという結論ですか」
「蕎麦を食う仕草はとても下手。先日の三遊亭きつつきが『長短』で演った、1本1本食うような感じで、とても見ていられない」
「……いいところが一つもありませんね」
「何と言うのかな、この演者だから仕方がないという諦め……これはテレビなど、タレントとしてお馴染みだから知っているという、そういうところで許されてしまったのじゃろうか」
「説明が訳の分からないものになっていますね」
「いいところが何も説明できないのに、何だかおかしくて……まあ、満足という一席になっているのは不思議じゃな」
「しょうがない解説ですね」
「はい、このアクの強い後はとても高座は成り立たないということで……何とここでお仲入り」
「意外ですか」
「普通なら歌奴で締めて仲入り、ぺーが色物として食い付きじゃろうな」
「ところが今日は」
「仲入りの後、いきなりトリが登場となった訳じゃ」
「気を遣った組み合わせということですね」
「ただ、休憩の間に色々話があったのが、膝変わりになっていたのはなかなか気を遣っている」
「色々考えているんですねえ」
「ということでいよいよ登場」
「待ってました」
瀧川鯉昇師匠じゃ」
「場所は三平堂だし、今まで出たのも全員落語協会……」
「よく分かったな。何とトリだけが芸協なのじゃ」
「それだけ一目置いているんでしょうねえ」
「そうじゃな。例によって、お辞儀の後、何も喋らずに笑わせ、ぼそぼそと語り始める近況報告……まあ、とにかく今一番面白い噺家と言って、文句は出ないじゃろうな」
「それで、今日は」
「『茶の湯』。中に入ってくる鯉昇ワールドが実に新鮮で、とにかく面白い」
「はい、素晴らしいです」
「ということで、大満足で帰宅したという……本日は落語会のご報告でした」

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