1月25日 日本橋界隈

「昨年から、落語の舞台を回っていますね」
「今日はって、本当は昨日じゃが、東京駅からお江戸日本橋亭まで歩く。以前上野駅からここまで歩いたので、上野東京間を制覇ということになる」
「意味がないけれどね」
「実は息子が出てきたので、今日新幹線で帰る。それを送りがてら、東京駅近くで昼食をおごり、別れてひとり旅」
「旅ってほどのものじゃないね」
「まず、日本橋より山手線側にある、一石橋。『いっこくばし』という唄があるが、ここには『いちごく』と書かれていたな」
「そうですか。でも面白い名前ですね」
「さて、この名前の由来は次のどれでしょう。
1 大阪などの三十石船に対して、超小型の船が着く場所だったから。
2 日本橋を出発するが、品川千住などへ行って戻る場合はこちらに着く。それが標準として一刻、約2時間かかったから。
3 ボイスイリュージョンのいっこく堂が住んでいたから。
 はい、ちっちっちっち……」
「ちょっと待って下さい……あの……1番、1番」
「ああ、残念でした」
「正解は何です」
「これは江戸時代、両側に後藤さんという方のお屋敷があったの。後藤と後藤(五斗と五斗)で一石になるというのが正解じゃ」
「……選択肢になかったですよ」
「当たり前じゃ。正解を入れておいて当たったらどうするのじゃ」
「変なの」
「さて、左上の写真はそのすぐ先にある貨幣博物館、向かいが日銀。これも中を見学させてもらえる。写真右じゃ」
「はい、お金のない大家さんがお金を見物した訳です」
「お土産にくれるかと思ったら、くれない」
「当たり前ですよ」
「そういうことで、三越前へ出て、お江戸日本橋亭へ」
「参りましょう」
「さあ、その報告は……」
「次のページですね」
「正解! でも賞品は出ないぞ」
「あらら」

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