8月17日 福島への旅(続)

「さて、昼食をとったし、お酒も手に入れたので、今回は喜多方の中心地は通り抜けるだけ」
「はい。次の目的地は」
熊野神社じゃ」
「右の写真ですか」
「右が鳥居……しかし不思議な神社じゃよ」
「どういう点が」
長床と呼ばれる建物があって、ここで大人数の法会などを行う」
本殿じゃないんですか」
本殿はここから更に階段を上った所に、三つの社がある。それぞれに神が祀られているが、一つは何神様なのか……文字が読めない」
「あら」
「それからいくつかの建物があるが、みんな荒れ果てて……」
「どうなっているんですか」
「この長床は歴史的にも貴重な建造物じゃが、これを守るためにお金を使い、他に回らないらしい」
「大変ですねえ」
「宝物は別に宝物館を作ってそちらに安置しているが……何とかしたいな」
「下の写真は」
「上の左が鳥居脇にある天然記念物の大樹。右は宝物館の内部。下は左が本堂から長床を見下ろしたもので、右がその長床じゃ」

「はい、次は」
「その南に当たる恵隆寺
「こちらは写真では何だか……」
「屋根が見えるかな」
「あ、上にちらっと……藁葺きですか」
「この建物の中に8.5mの観音様が安置されている」
「大きいですね」
立木観音といって、生えている木をそのまま彫刻したもので、今でも根が残っている」
「へえ」
会津のころり三観音の一つじゃ」
「ころりって……」
「苦しまずにころりと死ぬことが出来るという……」
「有難いことですね」
「さて、本当はこちらを先に回れば道筋じゃったのじゃが、もう一度喜多方方面へ戻って、裏磐梯へ回った」
「あら忙しい」
「昼食の関係でやむなく……本当はこちらから回る予定じゃったが、勝常寺が飛び入りで入ったので……」

「はい、それで次の目的地は」
五色沼の近く。猪苗代から行くと沼入り口のちょっと手前にある諸橋美術館。右上が庭園の写真」
「落ち着いた雰囲気の写真ですね」
「庭を歩くだけでもいいかも知れないな。ここまでは無料じゃ」
「ケチだね」
「美術館はダリの作品を集めたもので、見応えがあるぞ」
「ダリって……誰です」
「『誰』という漢字はもちろん『だり』と読むように」
「へへ」
「彫刻、絵画、それに珍しいタペストリーなどの作品もある。流れるような時計を見ると、すぐピンと来る人じゃよ」
「はい」
「今は『カルメン』の場面を描いた絵画展も行われている。下はその作品のひとつ。歌劇を元にしたものなので、クラシック好きにはお勧めじゃ」
「はい……それにしてもハードスケジュールですね」
「これから我が家まで帰らなければならないのでな」
「はい、ご苦労様」

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