9月16日 その1 藤代清治展

「さて、この日は来月三回忌を迎える父の誕生日で、朝8時に墓参り」
「随分早いですねえ」
「9時過ぎの電車に乗って銀座へ行かねばならないのでな」
「お忙しいことで」
「さあ、まずは絵にあります、藤代清治さんの展覧会」
「見たことのある絵ですね」
「わしの子供時代に、テレビの天気予報で、小人達が動いていた。小学校の時にこの方がデザインしたキャラの影絵があって、面白かった」
「へえ」
「テレビは白黒だったのじゃが、この時素晴らしい色彩に感動を覚えた」
「なるほど」
「さて、一昨年、高松で展覧会があるというので出掛けた。100点も集めたもので、予定の時間が2時間だったので、全部は見られなかった」
「すごい展覧会だったんですね」
「その後、岡山、津山で展覧会があった」
「何度も行ったんですね」
「影絵で、表情がない。それがどうして心が感じられるのか……ここに興味を覚えるのじゃな」
「はい。何かつかめましたか」
「能楽の世界とのつながりを感じたのじゃが……」
「……無理に難しい話にもって来ていませんか」
「そういう訳ではないのじゃが……まあ、もう少しまとまったら発表しよう」
「はい」
「さて、この展覧会は、銀座の山野楽器が今月いっぱい。教文館が10月16日まで。入場料はそれぞれ600円、共通券は900円。二度目の来場は割引がある」
「何度も来てほしいんでしょうか」
「そうじゃろうな……さて、これでお昼前、友人の結婚式へ行くが、これはまあ、皆さんにお知らせすることはないじゃろう」
「そうですね。その後も色々あったんでしょ」
「そう。MODEAの演奏会、音楽の祭じゃ。それから、桂夏丸君が浅草演芸ホールで二ツ目のお披露目……」
「音楽の祭からお披露目……あれ……」
「気付いたか」
「冠婚葬祭の、『冠』に当たるんですか」
「そうじゃよ。夏丸君の『冠』、友人の『婚』、父の命日で『葬』、MODEA演奏会が『祭』……一日で全部体験してしまった」
「すごい……のかな……」
「演奏会からは次のページで」
「はい、例によって引き延ばしが行われます」

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