大阪の旅 9月29日
第1章 通天閣

「さて、爺さんの手記の舞台を探索するために、大阪へ行くことになった」
「最初は日帰りの予定でしたが」
天満天神繁昌亭がオープンしたばかりだということで、1日大阪を回ることにして、急遽1泊の旅に変更した」
「さて、初日は」
「6時のバスに乗るために、4時起きをした。バスの中で寝られると思ったので、朝飯をかっ込んで駅へ。ちょうど発車3分前に乗車。時間の使い方は完璧じゃな」
「あまり自慢できる状況ではないと思いますよ」
「8時45分着の予定で、ちゃんと1時間半は寝られたので、これも予定通り。8時過ぎには高速を降りたので安心していたら……」
「何かありましたか」
「大阪の街が渋滞で、結局新大阪着が8時45分、大阪駅に着いたのは9時10分だった」
「随分遅れましたね」
「最初の1日で全部回る予定だと、もうこれで絶望的だったのじゃが、ちゃんと2日に振り分けたから支障はない。わしの普段の行いの良さじゃな」
「まあ、そういうことにしておきましょう」
「これから環状線の内回りに乗って……」
「内回りが便利だったんですか」
「いや、順番を変えればどうにでもなるのじゃが、内回りの方が外回りより距離が短いじゃろう」
「……そんなに変わりますかねえ」
「駅の順で紹介すると、大阪を出て、福島
「いきなり福島県ですか」
「驚くのはまだ早い。次の駅は埼玉の野田
「まあ、同じ名前だというだけで……」
「次が西九条ユニバーサルシティへはここで乗り換えじゃ」
「はい、余計なCM」
弁天町大正芦原橋今宮、この次が新今宮通天閣のある所じゃ」
「右上の写真が……って、もう左に2枚目の写真も出ていますよ」
「これは最上階にあるビリケンさん、ここのシンボルじゃ。商店街ではどの店にもこの像が飾られている。本当は表の写真を撮って次へ行く予定だったが、塔の下まで着たら9時50分、あと10分で開店ということで……せっかくじゃから入って来た」
「良かったですか」
「景色はいいな。通り過ぎた大阪ドームや神戸の辺りまで見渡すことが出来る。ただ、町はゴタゴタしていて、いかにも大阪。それに歩いている人の3人に1人はくわえ煙草、それに驚いたのは信号が赤で止まる歩行者はほとんどいない。止まっているのは余所から来た人だってすぐ分かるのがおかしいな」
「車はどうするんです」
「どうもしない。人が渡っていようがいまいが、青信号なので突っ込んで来る」
「すごいですね」
「このマナーは津山にも勝てるかも知れないな」
「さて、続いては」
天王寺さんにお参りじゃ」
「では、そちらへ続く」

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