8月19日 RRB散歩「天橋立〜城崎編」:
その13「城崎温泉湯めぐり碑めぐりその1」

「さあ、城崎温泉に着いて、休む間もなく町の中を見学」
「休めばいいのに」
「時間がないのじゃ。3時に着いて、6時から食事だから……3時間で出来るだけ回らないと」
「2泊すればいいのにね」
旅館は最も東側の場所じゃったが、それが実は大きな意味を持っていた」
「おもわせぶりですね」
「こちらは湯めぐりが有名で、宿の内湯は小さく作られている。実は止まった宿は桧風呂でなかなか良かった。女湯は石の風呂だったそうじゃ。これは毎日入れ替わる」
「はい。で、外湯めぐりという訳ですね」
「地図にある数字のある丸は文学碑を示す。本文でも碑はその数字を利用します」
温泉は通し番号で……参りましょう」

「宿からぐるりと一周したのじゃが、分かりやすく、駅からスタートしよう」
「参りましょう」
「こちらが城崎温泉駅。志賀直哉の『城の崎にて』という小説の舞台ということじゃが、彼の時代はもちろん鉄道を利用したはずじゃ」
「もちろんその時代とは違う建物です」

碑1……まずは駅前からじゃ。左に立っているのは『城崎文学散歩道』と書かれている」
「右は」
島崎藤村の碑」

    山陰土産 島崎藤村
    一 ── 大阪より城崎へ
  朝曇りのした空もまだすゞしいうちに大阪の宿を立つたのは、七月の八日であった。

「と読める。因みに、このすぐ脇には細川たかしの歌『城崎恋歌』の碑もあるが、ま、どうでもいいので」
「写真は省略です」

「さっきの写真でも奥に見えていたが……」
下駄ですか」
「各宿屋ごとに違う下駄を揃えてある。外湯に行く時はこの下駄を履いて行くと、例えば浴衣を着ていれば、それを見てすぐにその宿の下駄を出してくれる」
「へえ」

温泉1……駅前50mにあるさとの湯。中は温泉のテーマパークのようで、ちょっと作り物めいている印象」
「外見もすごいですね」

「泊まっている宿まで420m。大谿川(おおたにがわ)を渡る。わしの泊まった宿がこちらの辺り」
「はい、温泉街の端っこということでした」

「宿の隣に、円山公園への入口がある」
「これが公園ですか、山ですね」
「かなり高い所まで上るが、時間がないので半ばで断念した」
「そうでしょうね」

「ここは『城の崎にて』の中で、直哉が散歩に来ていたことが紹介されている」
「へえ」
「頂上まで登ると日本海まで見えると書かれているが、そこまで上がる時間がない」
「はい、残念でした」

碑2は漢詩」

   風雩詠帰山吐日……

「漢文の定番の文句。村瀬藤城の碑じゃろう」
「いい加減だね」

「さあ、城崎温泉街に戻って、大谿川に沿って進むぞ。湯めぐりの再会じゃ」
「元気だねえ」

温泉2……この通りにある最初の温泉は地蔵湯。大きな湯船が特色で、癖のない湯は普通の銭湯のよう」
「あれ……締まっていますね」
「実はわしが行った日はお休みだったのじゃ。翌朝7時から開くので入りに行った」
「翌朝の出発は8時でしたね……それに、朝食が7時じゃなかったですか」
「そう、食事をして、出発前に一っ風呂」
「かなり無理がありますよ」
「だから、最初に言ったじゃろう。宿がこちらの端っこ、この地蔵湯まで片道180mしかないのじゃ」
「あ……だから入りに行けた」
「そう。因みに一行で7つの湯全部をクリアしたのはわし一人だけじゃった」
「でしょうね」
「普通の銭湯というと悪く聞こえたかも知れないが、朝湯にはすごく合っている」
「はいはい、次に行きましょう」
「長くなるので次のページへ」

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