8月19日 RRB散歩「天橋立〜城崎編」:その8「股のぞき」

「さあ、ついに来ました股のぞき
「はい、天橋立を上から眺める、絶景ポイントです……やっと、写真が出ました」
「明日は山を越えて京都駅へ出る。本当は大江山を通りたかったが、鬼のテーマパークがあるらしい。それよりは歴史的な村を見ようってことで……」
「昨日の舟屋のような」
「そう。海の村と山の村を比較することにした」
「……天橋立の説明はどうしました」
「あ、そうか……話をそらすなよ」
「そらしてません」
小式部内侍の和歌で、
  大江山いくのの道の遠ければまだふみも見ず天橋立
 というのがある。そのコースを進みたかったのじゃ」
「へえ」
「2月に広島を訪れて、安芸の宮島を見た」
「これも日本三景の一つですね」
「宮島は、小式部内侍の歌、
  千早振る神の斎垣にあらねども海の上にも鳥ゐ立ちたり
 の歌を現実の物として作ったのじゃ」
「なるほど」

「こちらはパワースポットの笠ぼう……」
「笠……ああ、松笠ですか……パワーって……」
「ここを拝むといいことがある……かも」
「ありますかねえ」

「はい、ありました。本物の笠ぼうが登場しました」
「……しょうがないね。子供じゃないんだから……」

「こちらはかわらけ投げの的。落語『愛宕山』でお馴染みじゃな。素焼きのお皿を買って、輪の中を通すように投げるのじゃ」
「へえ……輪の中に建物が見えますよ」
「これが昨夜泊まったホテル」
「今ごろ紹介されても……」

「さて、これで満足してもいいが、本当の股のぞきはもう一つ上」
「え、これを上るんですか」

「途中にある松……これが笠坊というキャラクターを生んだ大松」
「すごいですね」

「これが頂上からの風景」
「最初の写真とあまり変わりませんね」
「最初の写真は、中央にケーブルカーとロープウェイが見えるじゃろう」
「あ……どうでもいいけど、ちゃんと違いがあるんだ」

股のぞきというのは、こうして自分の股からのぞくと世界が変わって見える」
「へえ」
「天橋立が本当に橋のようになって、天と地をつなぐように見えるのじゃ」
「へえ」

「ううん……写真を逆さにしても雰囲気が出ないなあ。これでも本当にカメラを逆さまにしたんだ。ところが今のカメラは上下を関知でき、パソコンに落とすと普通の写真になる。それでまたそれをひっくり返して……」
「面倒なことをやってますねえ……」
「それとも、普通の写真を出して、パソコンの前で股くぐりでをしてもらおうか……」
「誰がするか」
「ということで、次回は、天橋立まで下りましょう」
「まだ続きます」

9:天橋立へ進む     表紙へ戻る     7:ケーブルカーへ戻る

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