7月26日 お江戸日本橋亭

さて、今日も落語へ」
「寄席はいいんですが、写真が昨日と同じじゃないですか」
「同じ所じゃから……今日もお江戸日本橋亭
「いい加減だなあ」
「仕事を終えてから行くのじゃから、1時間は遅刻。前座はもちりん……前回と同じ宮治じゃった……お目当てのちゃんも聞けない」
「はい、残念」
桂米多朗の『蟇の油』が山場になる所だったので、終わった所で入場。二ツ目勉強会よりは遙かに多く入っていた。それでも一番前が空いていたので、そちらを占拠」
「さ、もう仲トリですね」
桂歌助で、『青菜』。やはりお店の夫婦と長屋の夫婦の差が面白いのじゃ。その演出で随分変わる。マンガチックにする人もあるが、さすがは歌助師匠。ご馳走になっている植木屋とご主人夫婦のやりとり、長屋での夫婦と大工の会話……わざとらしさが微塵もなく、自然な会話。そこに現れる人間的なおかしみ……泣かせると落語ではなくなるが、そうした人情まで感じさせる」
「素晴らしいですね」
「うん、これはやはり違うという一席。遅れて来てもこれだけで十分取り戻したな」
「良かった良かった」
「食い付きは神田陽子の『与謝野晶子伝』。正直に言うが、なぜここまで嫌らしくするのか……わざとらしい演出をしなくとも、短歌と詩を並べただけで感動的。『君死にたまふことなかれ』など涙する場面なので、その後笑わせないで終わってもいいんじゃないかなあ……どうもいただけない」
「はい、良くなかった」
「いや、陽子先生の雰囲気なのじゃろうな……悪いとは思わない。これはわしが合わないということなのじゃろう」
「はい、続いては奇術ですね」
ここあちゃん……ここでハートマークを付けるのじゃが機種依存文字でダメだって……ハートの代わりにわしにハトを差し出したら、何とハトがフンをして……」
「あらら……」
「彼女も初めてだと驚いていた……実はわしは何度も見ているから驚かない」
「そんなものですか」
「そんなものですよ」
「で、ここあちゃんの奇術は」
「いやあ、手際が悪くていいな……」
「悪い……のにいいんですか」
「可愛いから許す」
「何ですそりゃ」
「最後のリングは素晴らしいぞ……もう仕掛けはみんな知っているのじゃろうが、10本以上のリングを操るのはお見事じゃ」
「はい」
「トリは三遊亭遊之介で『湯屋番』。前半後半のつながりは疑問……実は演出に二種類あって、その片方なのじゃ」
「というと」
「湯屋のおかみさん目当てで奉公に出ようというのに、他の女との関係を空想するのが違和感……小遊三系統はみんなこの演出……そこからは同じだからいいのじゃが……まあ、その空想と見ている客の入れ替わるタイミングが面白いのじゃな」
「タイミングが悪ければぶちこわし」
「そういうこと……」
「はい、お開きですね……右の写真はやっぱり昨日と同じだ……」
「いや、ここで大喜利」
「あら……まだあるの」
歌助師匠と遊之介師匠で素人芝居『忠臣蔵』五段目を」
「へえ……すごい」
歌助師匠は歌舞伎体験もあって……という触れ込みだったが、完全に歌助師匠がボケ役。まあ遊之介師匠が一席終わったばかりで息が切れているからちょうどいいのかな……ありきたりのネタでも見ていて楽しいのが大喜利の魅力」
「いいですね」
「さあ、そういうことでわざわざ出掛けた甲斐がありました。後はここあちゃんに挨拶してわしの方も終演」
「連続の寄席、満足ですね」

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