RRB東京散歩(秋葉原〜日本橋):その15「柳森神社〜紺屋町」

「地図の左上、秋葉原駅を下りたら、南側、神田、東京に近い出口から、鉄道の下を進んで橋を渡る」
神田川ですね」
「川を渡ったらすぐ左折。わしは昭和通り、地図で○印和泉橋を渡ったので右折して190m。@が最初の目的地」

「これは小ぢんまりとした神社ですね」
柳森神社(やなぎのもりじんじゃ)。富士の浅間神社を分祀したものじゃ」
「古いんですか」
「1680年の創建、富士詣が盛んだった頃は相当に栄えたそうじゃ。その碑が5つほどあるので、自分で行って見てね」
「省略です」

「これは力石。持ち上げて力自慢をした。沢山あるが、どれがどのくらいの重さと分かっているわけじゃな」
「へえ」

「ここが面白いのは、お稲荷さんの狐もいるが、お狸様がいること」
「あら」
「五代将軍綱吉の母桂昌院が創建した福寿神じゃ。他を抜いて玉の輿に乗ったというので、『他を抜く』……『他抜き(たぬき)』というので狸を祀った」
「落語家さんの使う洒落の元祖なんですね」

「もう一枚お狸様の写真で、次へ行こう」
「あ、今日はここだけじゃないんだ」
柳森神社から岩本町を抜け、水天宮へ向かう」
「水天宮まで行く道ですか」
「まっすぐ行けば柳森神社から2km程度」
「うええ……そんなに歩くの」
「いや、途中であちこち寄り道をするのじゃから、もっと歩くぞ」
「もう嫌になって来ました」
柳森神社から550m、道路脇に入ると、そこにあるのが地図Aお玉稲荷
「これは何かあるんですか」
「別に……さっきだったから……お玉というのがいいかなと……」
「え……たんたん狸ですか」
「この曲は賛美歌687番。イザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第4番は民謡などを使って作られているが、第3楽章にこのメロディが現れる」
「またまたどうでもいい話題」
「実際には、昔お玉が池というのがあったから……不忍池よりも広いといわれた。最初は桜池と呼ばれるが、茶屋の娘お玉が身を投げたためお玉が池と呼ばれるようになったのじゃ」
「へえ……池なんかありませんね」
「次第に埋め立てられて、今はすっかり消えてしまった」
「ふうん」

「こちらは地図B金山神社
「ん……たんたん狸で、金ですか」
「ううん……あまり面白くないか」
「どうでもいいね」

「ここからそのまま西へ進んで、高速1号線の下を走る国道4号線に出る」
「ここが地図C紺屋町交差点
「みんな『こんや』と読んで、辞書にもそう載っている」
「え……じゃあ違うんですか」
「いや、それで合っている」
「あれ……」
「江戸では『こうや』と読む。専門の職人は自分達を『こんや』と言っており、それで正しいのじゃが、江戸の人は『こうや』。芝居や落語も『こうやたかお(紺屋高尾)』でないと……ことわざも『こうやの白袴』と言ったが……」
「今はみんな『こんや』と言っている」
「ううん……それどころか、このことわざ自体を知っている人がいなくなっているように思われてならないなあ」
「はい、年寄りの愚痴でございます」
お玉神社から360m。今日歩いた距離は1.1kmでございます」
「後半のシリーズの第1歩に過ぎません」

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