RRB東京散歩(日暮里〜上野):その7「鬼子母神」

「さあ、地図で紹介……」
「って、手を抜いて、地図は前のページと同じですね」
「何を言うとる。ほら、右端に黄色い★が増えているぞ」
「あら……」
「前のページでは○印笹乃雪から、赤い★印鬼子母神まで、数字の場所に寄って参りました」
「で、今日は鬼子母神ですね」

「「この散歩のメインは、おそれ入谷の鬼子母神……でお馴染みの鬼子母神
「何ですそれ……」
「恐れ入ったというのを洒落た言葉じゃ。わしの小学生の時代には子供でも知っていたが、今は使わないなあ」
「世の中変わりましたから」
「中央の塔の左側、東京スカイツリーの先っぽが見える」
「狙ったんだろうが……大したことはないね」

本堂
「小さいですね」
鬼子母神は、子供を取って食うのじゃが、釈迦に自分の子供を隠され、食われた親の気持ちを考えるよう諭される。それで子供を守る神に変わったのじゃ」
「いいことです」
「恐ろしい鬼ではなくなったというので、ここでは鬼という字の角を取って、『田』から書き始める」
「うへえ……恐れ入りやした」

「境内にある。これも二句は正岡子規の直筆じゃな。案内板も何もないのじゃが」

     漱石来る
  蕣や君いかめしき文学士 子規
  入谷から出る朝顔の車哉 子規
  朝顔も入谷へ三日里帰り 当山日東

「と読める。『』は『あさがお』と読む」
入谷朝顔って、聞いたことがありますよ」
子規の句を二つ並べ、最後にこの神社の人の作品を加ええているのは笑えるな」
「どうでもいいですね」

「こちらは135m先の入谷駅前交差点、地図の黄色い★にあるオブジェじゃ。
 この辺りは入谷田圃といって朝顔栽培に適していたのじゃろう。明治に入ってから人気が出るが、十数軒の店が鑑賞させたのが始まりというな。大正時代に市街地になったため中止されたが、戦後になって再開され、下町情緒ということで人気になる」
「はい、その季節にはぜひどうぞ」
「さ、更にこの道を東へ、浅草の方まで進もう」
「まだ歩きます」

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