RRB東京散歩(日暮里〜上野):その5「笹乃雪」

「さて、この辺りは家々の表に子規の俳句や短歌を掲示してあるのが面白い。それを読んで行くだけでも楽しめる」
「で、今日は」

地図○印子規庵から東へ。ここは加賀邸跡地。加賀前田家が五千坪の住まいを手にしたが、明治の中頃から御家人の住まいを借家として貸し出した」
「生活が苦しかったんですかねえ」
「落語『士族の商法』など参照」
「分かりませんよ」
子規の家もそういう借家だったのじゃ。写真には子規の二句が見える」

  花薄百萬石を枯れにけり
  いろいろの売声絶えて蝉の昼
(売・声・昼は本字)

「トータル100mで地図@に到着……って、さっきの加賀邸跡地の表示はこのすぐ隣じゃ」
「これはまた可愛らしい神社ですね」
八二神社。取りあえずコースにあったので」
「あら、特に何もないのね」

「さあ、135mほど歩いて、通りへ出ました」
「これは高い所からの写真ですね」
「前の歩道橋から撮影したのじゃ。地図のA、この角にあるのが笹乃雪という豆富料理のお店。ここが今日の散歩のメインじゃ」
「今日の散歩って……五回目の報告なのに、毎回メインがありますね」

「実際に歩いた道とは逆行しているが、お店の写真」
「はい」
「ここから店の前を抜け、左へ曲がって子規庵へ通じる。写真の後ろへ歩いて行けば鶯谷交差点まで75m。歩道橋を渡って、根岸から入谷辺りのお寺を回るのもいいコース」
「最初の写真はその歩道橋の上からなんですね」
「で、実は鶯谷交差点の方へ進む」
「あらら」

「こちらが暖簾
「お店ですが、豆富って豆腐ですか」
「縁起を担いでいるのじゃなあ。この初代が、上野東叡山の依頼で絹ごし豆腐を発明した。これを輪王寺様が『此は笹の上に積もりし雪の如き美しさよ』と仰せられ、『笹乃雪』と名付けるよう命じられた」
「食べますか」
「ちょっと贅沢じゃが、豆腐のフルコースは一度食べてみる価値はある。お昼の簡単な物なら2千円で食べられる」
「ちょっと簡単じゃないですね」

「ということで、食べるのは断念……さあ、こちらが店の前にある子規の句碑
「アップにしましょう」

  水無月や根岸涼しき笹の雪
  朝顔は朝商ひす笹の雪

「『朝商ひ』は『あさあきなひ』と読む。実は碑には全部仮名で書かれている」
「はい、正岡子規の色々を散策しました」
「では入谷鬼子母神へ向かおう……実はここにも子規が……」
「はい、次回はそこですか」
「いや……途中寄り道が……」
「また、いい加減な……」

6鬼子母神への道へ進む    表紙へ戻る     4:子規庵へ戻る

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