5月29日 チャリティー音楽会

つくば・ノバホールで震災被災地へのチャリティー音楽会が行われた」
「支援は色々な形で行われています」
「曲はまずモーツァルトの『レクイエム』から、レクイエム、キリエ、それに涙の日。実は合唱の中に2人知ってる顔がいるのじゃ」
「はい……まあ、そういうことですね」
「筑波大その他のアンサンブルが一緒になったオーケストラだが、第1ヴァイオリンはいい音色を出していた」
「寄せ集めなのに、ですか……ちょっと失礼ですが」
「弾き方とか、ちょっとしたところに違いが出るものじゃよ」
「で、合唱は」
合唱もいいね。演奏、選曲ともに。被災者への追悼としていい開幕じゃった」
「後は」
「第2部。フルートとピアノでピアソラの『タンゴの歴史』から、ピアノ・ソロでヒナステラの『アルゼンチン舞曲』、連弾でガーシュインの『ラプソディ・イン・ブルー』、まあ、素人の演奏じゃから……苦言はなし」
「今一ってことですね」
「第3部はマンドリンのアンサンブルで3曲。これも……『マンドリンてもっと美しい音色だったよなあ』っていうレベル。前にいた着物のオジサン、何度も何度も溜息をついて辛そうじゃった……終わった途端にすごい拍手をしたのは、よほど苦痛だったのじゃろう」
「色々なお客さんがいます」
「まあ、その気持ちは分かるという演奏だった……その後は弦楽合奏でバッハG線上のアリア』、もちろんG線ではなく原曲で。フルートが加わって組曲2番の『ロンド』じゃが、どうしてこの曲を選んだのじゃろうな……フルートのソロとしては聞かせ場が不足するから、もう1曲合わせるのが普通じゃろうな……まあ、さっきは書かなかったが、フルートの音の不安がはっきり出たのがこの曲」
「素人だから苦言は無しでしょ」
「そうね……フルートが退いてパッヘルベルの『カノン』、これもあまり面白くない演奏じゃったな……」
「さっきはほめていましたね」
「そう……第1ヴァイオリンはいい音を出しているのに……何か物足りない……まあ、素人じゃから……原因もはっきりしているのじゃが、ここで指摘してもねえ」
「はいはい、先へ行きましょう」
「今度はソプラノが加わって、ヘンデルの『なつかしい木陰よ』。司会が『ラルゴ』としてお馴染みって一言加えると分かりやすいと思う……そういえばバッハの『ロンド』も曲の説明が間違っていたし……司会台本のチェックが甘かったのかな」
「どうでもいい話題」
「さて、このソプラノは良かった。ただ……」
「何か気になりますか」
ドレスがきつそうで……」
「また、どうでもいい」
「『メサイヤ』の『リジョス』はテクニックを披露する歌で、これも良かったぞ」
「いいですね」
「最後にマスカーニの『アヴェマリア』、これは『カヴァレリア・ルスティカーナ』の間奏曲が大変な人気になって歌詞が付けられたもの。これも曲の紹介が間違っていたなあ」
「それより、演奏は」
「やはりの音がいい……コンマスの人がいい姿勢でよく全体を見ていたから、この人の力があったのかも知れないなあって思った」
「この人が締めていた」
「そういう印象。最初に原曲通り演奏して、二度目に歌詞付きで演奏したから、余計に弦の素晴らしさも際立った。まあテンポが早めなのは仕方がないところ」
「なかなかの演奏ですね」
「最後をきちっと締めてくれた。ということで、108名の演奏者、歌い手の皆様ご苦労様でした」

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