3月11日 東日本大震災:1「我が家」

「3月11日、大きな地震に襲われました」
「大変でした」
「北の方では津波に見舞われ、更には原発の事故まで起こり、原発周辺はおそらく数年は人が住めないであろうと思われます」
「東電や政治家は楽観的なようですが……」
「さて、記憶にとどめておくために、我が家の記録を残したいと思います」
「はい」
「一番大きな被害はパソコンのデータが全部消えてしまったこと」
「このページの写真は、ブログその他のデータとして出しておいたものを拾い集めたものです」
「わしはちょうど仕事の最中。地震が起こったのは14時46分。この日、ちょうど立ち仕事に掛かった所じゃった。避難場所へ避難して来た人への声掛けなど行い、やっとみんな無事に送り届けたのが11時過ぎ……その間立ちっ放し。仕事で1日歩く平均は万歩計で1万3千歩前後、多い時でも1万8千くらいだが、この日は2万8千歩を越えていた」
「すごかったですものねえ」
右上の写真は家の本棚
「倒れています」
「6つの本棚があるが、これが一番無事だったもの」
「あら……」
はひっくり返った棚。ちゃんと地震対策の棒が付いていたのに……」
「それだけ揺れたということですね」
「隣の部屋は本箱の一番下の棚まで残らず放り出されていた」
「すごいね」
「仕事の方は解散になって、夜0時を回ってから一駅前に住む人に車で送ってもらったが、高速が使えないから普通の道路が大混雑。取手の駅前では偕楽園に行ったはとバスを見掛けた」
「東京から来ているんでしょうねえ」
「調べたら一番遅いバスでも夜8時半に東京駅で解散予定じゃった」
「渋滞しているから、ほとんど動かないでしょう」
「1回の青信号で2台から6台くらいしか進めない」
「うわあ、大変」
「家に帰ると写真の通りで、寝る場所もない。仕方なく炬燵に足を突っ込んで就寝」
「大変でした」
「さて、翌朝は片付けないと……」
右の写真は」
「我が家で一番大きな本棚
「倒れずに済んだんだ……でも、傾いていますね」
「天井に斜めにはさまって止まったのじゃ。下はガラスを割って本が飛び出したが、一番上はなぜか助かった」
「不思議ですね」
左下が横からの写真」
「完全に天上に引っかかっていますね」
「横揺れで無理に押し込まれたのじゃな。天井に5センチも傷が付き、本棚の背板がはがれている。わしの力ではびくともしない」
「大変です」
「惜しかったのは、夜寝るのにこの下に家内が寝ているのじゃ。うまくいけば家内がつぶれて、わしはその隣じゃから、このまま倒れても大丈夫。夜中だったら良かったのにねえ」
「ひどいね……奥さんは大丈夫だったんですか」
「これまた残念、ちょうど買い物に行って、お店で地震に遭遇したらしい。レジに並んでいたが、もう大変だというので、そのまま帰って来た」
「お金を払わずに、品物は持って……」
「普通そうじゃよな……家内は品物も置いてきたそうじゃ、バカじゃから」
「図々しい大家さんなら持って帰るよね……で、本棚はどうしました」
「午後になって息子が帰って来た」
「息子さんは、どうしたんです」
「職場で地震に遭遇、電車が全部止まっているのじゃが、職場はガラスが多いビルなので追い出されてしまったという」
「で、どうしたんです」
「ラーメン屋などで時間をつぶし、最後は公園で夜明かしをしようとしたが、これも追い出された」
「まるで浮浪者ですね……さすが大家さんの息子」
「それで朝になって電車が動くというので駅に行った。動き出すのが遅く、普通なら1時間程度で戻るのに、結局家に付いたのは午後2時過ぎじゃった」
「地震から丸1日ですか」
「それで、2人がかりでガンガン叩いて、やっと本棚が戻ったという次第……ご近所の方、申し訳ありませんでした」
「ということで、片付けるともう夜8時前……」
「大変ですね」
「その他、デスクトップのパソコンもひっくり返っていた。壁際に押し付けてあった台も壁から10センチも離れていた」
「水道は午後4時に復旧」
「水は大切ですものねえ」
「たまたま家内が、買い物から帰ってから洗おうとしていたので、湯船に全部残っていたのが救い」
「偶然ですか」
「いつもなら先に抜いて洗っておくのに……たまたまじゃ」
「良かったですね」
右の写真は台所の壁」
「割れましたか」
「うちはこれだけですんだ。ご近所では5、6枚が割れ、修理を頼んだら、全体のタイルが壁から浮き上がっているから、全部直さなければならないと言われたとか」
「大変ですね」
「翌日13日(日)は居間の片付けということになった」
「計画的にやらないとねえ」
写真は近所の家の屋根」
「他の瓦が落ちて来たんですかねえ」
「どこから飛んで来るんだ。屋根そのものがゆがんではがれたのじゃよ……やあねえ」
「しょうがないね」
「はい、大変な地震でしたが、もっと大変な所もあるので……冗談を言っている場合じゃないぞ」
「冗談は大家さんでしょう」
「さて、そういうことで土日は休みを取りましたが、14日(月)には出勤となります」
「え、行くんですか」
「それは次のページで」

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