12月19日 早朝寄席

「上野で二ツ目勉強会
「参りましょう。三遊亭亜郎
「『ちりとてちん』。この人はいつもジェスチャーなどがオーバーで……噺そのものもちょっとわざとらしいのだから、面白いのだろう」
「だろうって……」
「マクラで順番決めの話をし、間にそこに脱線するのは可。もちろん即興で話しているのじゃろうから、素晴らしい。しかし、やってはならない脱線もあったし……なぜこの季節にこのネタを出すのか、勉強の意味かどうかよく分からない」
「全体では」
「まあ受けていたのでそこそこ、★★★☆☆くらいかな」
「グルメ情報みたようになっちゃうね……柳家わさび
「『弥次郎』。しゃべり方がどうも、という人なのだが、新作のセンスは驚かされる。今回は古典の名作じゃが、まだ口慣れていないようで、聞いていて辛い。★☆☆☆☆
柳家花ん謝
「『時蕎麦』。落ち着いていてよかった。正直今日のメンバーでは一番いいと感じたな。★★★★☆
林家たこ平
「『親子酒』夫婦の会話を主に、飲む場面はかなり省略。それで気持ちがつながらないため、何となくちぐはぐな印象。★★☆☆☆
「課題は色々ありますね」
「それが若手の勉強会ということなのじゃ。昔ならわさびにはブーイングが出てもおかしくないが、今は大拍手。客は若手を育てるのでなく、とりあえずお笑いの会に来ているという状態」
「まあ、いいことですね」
「そうじゃな。昔は出囃子も自分でやっていたのが、三味線の人に頼めるほどに収入もよくなったし……喜ぶべきことなのじゃろう」
「はい、課題研究はまたいずれ」
「じゃあ、帰りましょう」
「とんでもない。せっかく田舎から出たのじゃから、お江戸を見物しないと」
「何時の時代ですか」
「ということで、場所を移動します」

小林侑奈演奏会へ進む       表紙へ戻る

inserted by FC2 system