12月4日 新東京美術館(日展・ゴッホ展)

「さて、今日は起きた途端に頭が痛い」
「あ、それ……放っておくと頭痛になりますよ」
「それも一理あるが、同時に起きたらもう6時過ぎ」
「あらら、いつも家を出る時間じゃないですか」
「昨日の朝、目覚ましを止めた時、元を止めてしまったらしいな」
「どうします」
「仕方がない、今から行ってもねえ……今日は土曜日で半日だし……電話を掛けてお休みということにした」
「このところ疲れているから、一日休んだ方がいいかも知れませんね」
「そういうことで、六本木の新東京美術館へお出掛け」
「あらら……って、実は上に写真が出たからもうばれていますがね」
「まずは建物。毎年来ているが、いつも千代田線一本で来て直接中へ上がってしまうから、今回は気分を変えて六本木から歩いて外見を鑑賞」
「乗り換えが面倒なのに、よくやりますね」
「これも芸術鑑賞のためなら仕方がない」
「普段の行いと台詞がマッチしないね」
「今回のお目当ては日展
「はい、これまた大家さんと関係なさそうですが……」
「実はわしが入選した」
「ええっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「そんなに驚くな……続きがあるのじゃ」
「続きって……」
「実はわしが入選した……人を知っているのじゃ」
「……」
「どうした、声が出なくなって……」
「あきれているんです」
「5つの会場で大変じゃ。2つ回ってもうお昼……疲れて、申し訳ないがここでギブアップすることになった」
「しょうがないですね。
「はい、そういうことで、ゴッホ展に移動」
「……言っていることとやっていることが全然違いますね」
「ちゃんとフィンセント・ファン・ゴッホとされている」
「何です、ちゃんとって……」
「『v』の音は英語でいうと『f』音になる。わしの学生時代は『ヴィンセント・ヴァン』と書かれていた」
「あら、違うんですか」
「美術の世界ではこういうのはちゃんと改訂されるな」
「他の世界では違いますか」
「音楽……例えばシューベルトの交響曲の番号は改訂されてから日本だけが古い番号を使っていた。結局浸透するまでに50年掛かったな」
「へえ」
ゴッホと同じ綴り「v」で、音楽会では今でも『ベートーヴェン』などと書かれている」
「え、違うんですか……あ……」
「そう、正しい発音は『ベートーフェン』なのじゃ。一般では常識なのに、なぜ音楽解説や演奏会ではそのままになっているのじゃろう」
「不思議ですね」
「ということで、本日はこれぎり」
「また……大家さん、今日の話題は音楽じゃないですよ」
「あら……また誰か話をそらしたな」
「自分だろうって……で、どうだったんです」
ゴッホが影響を受けた画家、もちろん日本の浮世絵など展示され、そこからゴッホがどのような作品を生み出したかという内容……そうそう、さっきの問題で、ラファエロだと思っていたらラファエリだったし、デポックのデの後に『・』があるのに気付いたり……これは常識だったか……色々発見があった」
「……それって、何を見に行ったんです」
「絵についている説明書」
「しょうがないね」
「たっぷり見て出てきてびっくり」
「どうしました」
「写真の通り、入場のための行列が出来ていた」
「ということは、大家さんは並ばずに入れた」
「そうじゃ。それが出た時には行列で40分掛かると言っていた」
「ラッキーでしたね」
「そうじゃな。ちょうどお昼時に入場したのが正解だったかな」
「午後の混雑が始まったんですね」
「そういうことで、ここから地下鉄で北千住まで移動して昼食」
「また大移動ですね」
「回りの飲食店もひどい混雑だったからなあ」
「で、写真にはラーメンが出ていますね」
青葉というラーメン屋。行列が出来るので有名じゃが、遅かったのですっと入れた。しかし、その後また行列が出来ていたな」
「人気店ですね」
「麺は素晴らしい、焼き豚が絶品でとろけるのに軟らかすぎない。玉子も上々、メンマはちょっと大きいがわしは嫌いではない……」
「全部いいですね」
「スープがちょっと……出汁に用いた魚の臭みが感じられる。でも全体では★★★★☆にしてもいいじゃろう」
「はい、随分長くなりましたが……」
「今日のお出掛けは以上をもって読み切りと致します」

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