9月12日 神田辺りをぐるっと一周:その1「神田明神」

「さて、この日は鈴々舎馬るこの落語会。それで上野から神保町まで散歩」
「長い距離ですね」
「3キロちょっとあるかな。その代わり電車賃が110円も安くなる」
「ケチだね」
「これは夏目漱石が歩いた地域じゃな。高校で『こころ』って作品を教わるが、その中で小石川から神保町へ出て神田へ、万世の橋を渡って明神の坂を上って帰っていくというのがある」
「無理やり文学散歩だってことにしているな」
漱石の作品に倣って、古書店を散策するというのも目的の一つじゃ」
「じゃあ、参りましょう」
「最初の写真、右上は御徒町にある日本最初の喫茶店発祥の地という立て札」
「へえ、ここが最初だったんですか」
「こちらは神田明神の裏参道。今日は裏から上がって行くぞ」
「江戸の鎮守様ですね」
「いつもは家内の実家へ行き、深大寺で交通安全のお守りを手に入れて車にぶら下げておるのじゃが、10数年前、どうしてもお正月まで仕事で行けない年があってなあ……それで噺家さんとここへ来てお守りを買ったのじゃが……」
「何かありましたか」
「その車が、年間7回衝突されて……」
「ええ……すごい」
「相手の車は一番軽いものでもナンバープレートが二つ折れになったが、なぜか我が家の車はこすったような傷が付いた程度ですんだ……ご利益があったのじゃろうなあ」
「ううん……難しいですね」
「翌年からいつもの神社のものに戻ったが、それから十数年間、一度も事故がない」
「こちらのご利益の方がいいですね」
国学発祥の地という碑。日本の文学研究はここから始まったというのじゃ」
そうなんですか」
荷田東丸という人から始まり、賀茂真淵本居宣長に受け継がれていくのじゃな」
「無理やり文学散歩に仕立てているぞ」

「こちらはお馴染み銭形平次の碑」
「そういえば明神下に住んでいたということになっていますね」
「全くの架空の人物なのじゃが、世界一の探偵なのじゃ」
「え、どうしてですか」
「解決した事件が一番多いのじゃよ」
「へえ」

「隣にある八五郎の碑」
「子分だから小さい」
「小説の中では立派な親分になったがのう」
「そうなんですか」

「これが本堂
「裏から入ったので順番が逆になっております」

で神田明神のご紹介はおしまい」
「相変わらず途中からどんどん手抜きになりますね」
「はい、次のページでは湯島へ出て神保町まで参ります」

2:湯島から神保町へ進む     表紙へ戻る

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