「千住から吉原まで歩いて着た記録をご紹介しております」
「北千住駅をスタートし、千住大橋から南千住駅、吉原と歩いて参りましたが、今日は鷲神社へ参ります」
「酉の市で有名ですね」
「昨日紹介した吉原稲荷から境内まで歩いてもわずか３００ｍ」
「近いですねえ」
「酉の市といえば熊手。お酉様の時は大変な賑わいがあるのじゃが、普段は静かなものじゃ」
「でも、何をしに来たのですか」
「ここも文学関係の石碑。まずは樋口一葉」
「記念館からこちらまで歩いても４，５００ｍです」
「これは上野、隅田川について書かれた手紙と短歌」
「彼女の地元ですからね」
「こちらも樋口一葉の碑。こちらは作品の中でこの周辺を描いた文章」
「こういう碑は酉の市の慌ただしさの中ではゆっくり見ていられません」
「こちらは正岡子規。
雑闘（雑踏）や熊手押しあふ酉の市
説明板がないが、これは本人の直筆を碑にしたものじゃな」
「へえ」
「最後に松尾芭蕉の弟子としてお馴染みの宝井其角。
はるをまつ事のはじめや酉の市
これも直筆かな……」
「有名な人なんですか」
「芭蕉門下の実力ナンバーワン。江戸風の粋な作品で知られる。弟子の弟子と追って行くと蕪村もいるぞ」
「へえ」
「さあ、これで吉原界隈は全て予定終了」
「南へ進んで浅草へ」
「いや、ちょっと外れて台東区立図書館へ向かう」
「え……目的は」
「次のページをお楽しみに」