8月28日 千住・吉原・浅草を行く:その3「千住大橋」
「さあ、今日は千住大橋を渡ろう。まずは橋の手前にある碑。『奥の細道』の千住の文章が出ている。
千住といふ所にて舟を上がれば、前途三千里の思ひ胸にふさがりて、幻のちまたに離別の涙をそそく。
行く春や鳥鳴き魚の目は涙
これを矢立ての初めとして、行く道なほ進まず。人々は途中に立ち並びて、後ろ影の見ゆるまではと見送るなるべし。この文章全部が彫られている。文字は活字風で面白くないな」
「まあ、この場所だということを示すということで」「橋の下、河川敷の壁に描かれた絵。蕪村が『奥の細道』を描いたものじゃな」
「ここで見送りの人と別れ、本当の旅立ちになったのですね」
「右の写真が大橋。家康が江戸に入って最初に掛けられた大橋というな。1594年。隅田川には江戸時代に5つの橋が架かる」
「へえ」
「その中で最初に掛けられたもの。もちろん今の橋は関東大震災後に架けられたものじゃが、他の4つは本当に江戸、神田の周辺にある」
「それでもここが一番古かったんですね」
「そういうことじゃ」
「橋を向こうへ渡ると何がありますか」
「それはまた次のページで」