8月19日 茨城・福島・栃木を行く:その2「野口雨情記念館」
「前のページと同じ場所ですか」
「前のは野口雨情の生家。そこが資料館になっている。今日紹介するのは記念館」
「色々あるんですねえ」
「もちろん生まれた場所というだけでなく、ここで生活していたという親近感があるのじゃな」
「なるほど」「こちらが雨情の像」
「雨情って、どんな作品があるんですか」
「文庫本で童謡ベスト百が選ばれている。前のページを参照のこと」
「つまり、それ以上の作品があるってことですよね」
「わしの頭にぱっと浮かんだベスト10。発表年代順で、カッコ家は作曲した人。
十五夜お月さん 大正9(本居長世)
七つの子 大正10(本居長世)
赤い靴 大正10(本居長世)
青い眼の人形 大正10(本居長世)
シャボン玉 大正11(中山晋平)
黄金虫 大正11(中山晋平)
ウサギのダンス 大正13(中山晋平)
証城寺の狸囃 大正13(中山晋平)
雨ふりお月さん 大正14(中山晋平)
俵はごろごろ 大正14(本居長世)
あの町この町 大正14(中山晋平)」
「なるほど……聞いたことのある歌ばかりですね……って、11曲ありますよ」
「有名なものだけを拾ったらこうなった。例えば『七つの子』は明治40年に発表されているが、その後改訂された。大正に入ってから民謡や子供の歌の活動が活発になったから、それからの作品が並んだ」
「その後も作品はあるんでしょ」
「昭和に入ってからも……話として有名なのは『シャボン玉』じゃな。子供が死んで、即興的に書いたもの。子供の頃でも、『生まれてすぐに こわれて消えた』という部分に思わず涙したものじゃ」
「はい、それはよく聞く話ですね」
「さて、童謡以外にも名曲はある。『おれは河原の枯れススキ』でお馴染みの『船頭小唄』、日本の歌謡曲の初期の傑作『波浮の港』など」
「紹介が簡単になりますね」
「作曲はいずれも中山晋平。資料集を見ればもっとあるかも知れないが、わしの知識の中からはこの2曲のみ」
「だんだんいい加減になるね」
「2階は市の歴史民族資料館。この地で発掘された遺跡の資料など……今は戦争関係の資料が展示されている」
「はい」
「さて、1階に戻るが、ここで今は斎藤清展が行われている」
「へえ、どういう縁ですか」
「分からない」
「また、いい加減な」
「実は会津柳津にある斎藤清美術館、昨年行ったのにお休み。無理に開けさせたが、一部しか見せてもらえなかった」
「あらら」
「それで、今年再度行く計画になっている」
「ここだけのために同じ場所へですか」
「そういうことじゃ……その作品については、そちらの紹介で……」
「いつになるやら」
「そういうことで、ここを出たのは11時55分。お昼を食べに行こう」
「それはまた……」
「次のページで」
「やっぱりね」