7月29日 品格のある落語会

「さあ、今日は久し振りに東京へ遊びに出た」
「……いつも遊んでいるようなものじゃないですか」
神保町界隈は古書店がいっぱい。1時間前に着いて古書店4軒をハシゴ、古レコード屋も2軒回って、目的の落語カフェへ」
「買った本の紹介は」
「今月初めのブックフェアで15冊手に入れ、まだ3週間だから6冊しか読んでいない……昔の本の読み直しもあるし……その上先週、土浦の古書店で貴重な落語資料を7冊手に入れた」
「それで、今日は」
「手に入れ本のが7冊……ううん……計算上23冊残っているなあ」
「読めるんですか」
「さあ……体調が良くて早く読めても10月半ばになるか……」
「今年中に読み終わりませんよ」
「困ったものじゃ」
「自分のことでしょう」
「はい、本日はこれぎり」
「また……大家さん、今日は品格のある落語会ですよ」
「あ……忘れちゃった」
「しょうがないね。これは桂夏丸君の会で……」
「お前が紹介するな」
「じゃあ、しっかりやって下さい」
「うん……1席目は『鹿政談』。奉行に対し鹿奉行が説明をする。これを『黙れ』っと止めてから一気に畳み掛ける。この部分がいいな」
「文句なしですか」
「ううん……若いのだから、若々しさを感じさせるものをっていつも言っているが……こういう老成したものがいいって若手も困ったものじゃな。口にする歌も懐メロが多いし……」
「歌だけなら大家さんと同世代」
「わしも少し前世代だから、歌は合ってしまう」
「で、2席目は」
「『酢豆腐』。これも前に言ったが、最近は『ちりとてちん』が多くなって、派手なやり取りで笑わせてくれるが、作品そものがひどい……まあ、それは色々なところで説明しているので、本日は省略」
「『酢豆腐』というのは」
「『ちりとてちん』の元になった東京落語で、腐った豆腐を食わせるのも、ちょっとしたいたずら心であり、『ちりとてちん』のように相手をわざわざ呼びつけて食わせるなんて乱暴はしない。今回は仕草が大げさになったが、これも勉強会としてはいいのかな」
「わざとらしい仕草はいらないんですね」
「それが品を失わないのであれば良い。酢豆腐を食った後の崩れた姿勢は、その変化もスムーズでいいのかも知れない」
「結論を出さないつもりですか」
「まだ、これから磨かれる部分が多いからなあ」
「さて、お仲入りをはさんで、最後の一席」
「今話題の相撲……嘆いているぞ。テレビでやらないから名古屋まで行ったそうじゃ」
「大変ですねえ」
「それで、マクラの話題でちょっと混乱があったが、それは良しとしよう」
「で、ネタは」
「『稲川千両幟』。やはり落ち着いたネタじゃ。人情噺風な物が多くなるな。もう少し年を重ねて重々しさが出ると良くなるじゃろう。確かにいい。しかし、まだ磨かれる部分はあるはずじゃ」
「そうですね」
「それには、色々なネタをこなすこと。いつも言うように、若さをアピールするようなネタも出してほしいというのは、そういう観点からでもある」
「はい」
「ということで、本日は第9回品格のある落語会のご報告でした」


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