6月2日 水戸を行く:その1 川端康成コレクション展

「さて、今日は水戸へ……」
「今年は何度も行っていますねえ……今回の目的は」
「まずは展覧会」
「写真は……うん……何度か見た景色ですね」
「水戸の千羽湖。すっかりお馴染みになったな」
「今回もここから始まるんですか」
「写真に見える建物……白い屋根が見えるかな……近代美術館じゃ」

「はい、こちらが間近からの写真ですね」
「ここで川端康成コレクション展という展覧会が開かれるのじゃ。千羽湖のほとりで川端康成、なかなかいいじゃろう」
「……それ、どういう意味です」
川端に『千羽鶴』という作品があるから、その洒落じゃ」
「洒落になってませんよ」
「ともかく中へ入ろう」
「これはちらしですね」
川端康成は古美術の収集家としても知られており、かなりの名品を集めた」
「はるほど……その展覧会ということですか」
「わしは高校時代に1年で川端作品を20冊くらい読んだかな。ひねくれ者なので、ノーベル賞を取ったとたんに読むのをやめた……まあ、その魅力は、また読み始めざるを得なかったのじゃが……」
「ファンだったんですね」
「それで、自殺した時、学友と会って出た一言が、『やっぱり自殺したね』だった。作品を読んでいて、いつかこの日が来るということが分かっていた……そんな気がした」
「それで、この展覧会を見ないといけないってんですね」
「出典されているものは、日本の古典、現代、西洋の名作。絵画も彫刻も……とにかく面白いな。川端の趣味も感じられる。他の作家から来た手紙も貴重……しかし、何といっても最高なのが写真じゃ」
川端が写っている」
「いや、川端が写した写真。時代を見事に描いた作品が展示されていた。もちろん、そういう作品を出したのじゃろうが、これはなかなか貴重だったな」
「はい、皆様もぜひ……」
「いや、残念なのじゃが、6月6日が最終日」
「あらら」
「遅いご紹介で申し訳ない」
「じゃあ、この後はどうします」
「水戸を少し散策しよう」
「はい、また連続物の始まりです」

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