4月29日 行徳落語会 柳家ろべえ 東海道ひとり旅

「さあ、恒例の会でございます」
「市川行徳で行われている、柳家ろべえ君の落語会ですね」
「まずはろべえ君の1席目は『たらちね』」
「お馴染みのネタですね」
「お馴染みのスタイルで進むが、言い立てを間違えてやり直し。やり直しを早口でやるのはいいな」
「失敗もまた良しですか」
「これは大きく2つの型があって、父親が京都の産というのと、大和の侍というのと……ほとんどの人は両方を知っている。その地名でちょっと間違えると混乱するのじゃ」
「なるほど」
「後のミーティングでは、真打の大御所でも間違えたという話題があった」
「それもまた面白いですからねえ」
「噺は後はとんとんと進み、葱売りとの芝居がかった台詞で落ちとした」
「はい、全体としては良かったということで」
「ゲストは柳家こみちちゃん。新婚さんじゃ」
「結婚したばかりですか」
「旦那さんは、2月に取手に来ていただいた」
「あら」
「さあ、出し物は『鰻の幇間』。これもオーソドックスなやり方ではあるが、ちょっとした所に工夫が見られる。男の描写、店の描写、出された料理……これも、後のミーティングではこの客の正体は、ってことで盛り上がったな」
「さて、仲入後はろべえ君の2席目」
「『棒鱈』。これは明治の初期、江戸へ出てきた田舎侍……一般には薩摩の侍で演じるが、ろべえ君のは、薩摩言葉と東北弁と、関東のものと……色々混ざっていて、どこだから分からない。気にすると気になるが、気にしないと別に気にならない」
「訳の分からない説明ですね」
「要するに、どこの侍かと限定する意味があるかどうかという問題じゃな。まあ、どうでもいいかも知れないが、設定を気にすると、はっきりした方がいいのかも知れない」
「結局どっちつかずの結論ですね」
「ところで、内容についてちょっと疑問があったので、ネット検索をしてみたのじゃが……」
「何か問題でも」
ウィキペディアってのがあって、これは誰でも書き込みが出来るようになっている」
「ありますねえ」
「まあ、間違いだらけで、そのまま使うと信用問題になる。これは大学などの論文でも常識なのじゃ」
「はい。素人が書いているものですからねえ」
「落語について書かれているもの、本でも何でも無限にあるじゃろうが、このウィキペディアは最高じゃな」
「いいんですか」
「面白い落語を、ここまで詰まらなくまとめることが出来るのかって、びっくりするぞ。そのレベルの低さが笑える。書いている人はすごいセンスじゃな。わしは面白く伝えたいと苦労するのに……逆手で笑わせようとするのじゃから……まあ、お勧めなのでぜひ……とにかく、落語の題名を検索すると、まともなページはない」
「はい、皆様もぜひ」
「ということで、次回までに、研究してくるという課題も残ったのですが、本日はこれぎり」

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