[5月15日 福田奈七子演奏会

「さて、せっかく上京したからには、1つの演奏会で帰るのはもったいない、あーらもったいないアンニャーモリョリョン」
「モリョリョン踊りなんか、今の人は知りませんよ」
「実はわしも知らないのじゃが……」
「しょうがないね。それで、どうしたんです」
ヤマハのビルで、新人演奏会の紹介があるというのでついでに……」
「ひどい言い方」
「さて、写真は新しくなったヤマハのビル。数年にわたって仮店舗での営業じゃったなあ」
「はい、落成おめでとうございます……って、もう大分経ちましたよ」
「そう。でも、ずっと行けなかったので
「さて、演奏するのは福田奈七子ちゃん。まだ大学4年生の新人」
「はい、本当に新人ですね」
「初めての演奏会なのじゃ……まあ、演奏会と言っても、お客さんの出入り自由という場所だから、話し声が上がったり、子どもが声を上げたり、過酷な条件での演奏となった」
「大変ですねえ」
「もう一つ大変なのは、そうした条件下での演奏なのに、大変な曲を選んだということじゃな」
「どういうことです」

「最初がスクリャービンの『ピアノ・ソナタ第4番』、続いてはシューベルトの『ピアノ・ソナタ イ長調』から第1楽章」
「ほほう」
「分かるかね。真剣に聞かない人が多いかも知れないような場で、実にドラマチックな、深みのある曲を並べたのじゃ。時にはガタガタする場所で、繊細な部分と力強い部分を実に見事に弾き分けていたな。リズミカルで力強い演奏は印象的だった」

「素晴らしい演奏ということです」
「最後にショパンの『幻想ポロネーズ』。演奏終了後の写真が右」
「終わりました」
「感激に涙していたが、それだけの価値はある演奏だった」
「はい、これからも精進していただきましょう」
「ということで、演奏の報告は簡単ではございますが、これにて終了と致します」

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