5月15日 倉本裕基演奏会

「さて、一月振りに音楽会に行くことになって……」
「はい」
「実はベルリン・フィル主席奏者のエマニュエル・パユさんが来日され、トークを交えた会が開催される」
「それが、どうしたんです」
「6年も前のことになるが、日本での演奏会でご一緒し、また来られたらご挨拶をしたいと思っていた」
「6年は長いですね」
「それがなあ……その翌年から岡山へ行って、何やらかにやら忙しくて」
「結局言い訳ばかり」
「それで、今回は何としてもってことで……事前打ち合わせで上京」
「どういう打合せです」
「それはその……チケットを手に入れること」
ガックン……ですね」
「まあ、それで、行ったら同じ会場で、この日倉本裕基さんの演奏会が行われるというので……」
「なるほど……それで急遽参加ということですか」
「このブログをよくお読みになっている方はご存知であろう……」
「何ですか、また……」
「落語でも、噺の最中にメモを取ったりすることは失礼。寄席なら前座が高座返しをしている間にメモってもいいが、こうした演奏会では、演奏中はもちろん、間はお話があるから、メモなんか出来ない」
「はいはい」
「それで、曲目とか、内容とか、全部丸暗記して、後で書き起こすことになるのじゃ」
「はい、そうなりますねえ」
「だから、曲目とか、違っていたら、ごめんなさい」
「何だ、謝るの」
「さて、まずは自作の2曲。『桜吹雪く夜』から『ワルツ第2番』。ワルツはショパン風、倉本さんの雰囲気はショパンが甘党だったらという感じ」
「また意味不明ですね」
「ショパンの甘いワルツがもっと甘くなったような……もちろん、いい雰囲気じゃよ」
「はいはい」
「それで、ちょっと話があって……うん、声も甘いな」
「余計な感想はいいから」
「ここでクラシックを演奏。シューマンの『素晴らしい五月に』……一般には『美しい』だが、ご本人がそう仰っていたので……まあ、翻訳だからどうでもいい」
「余計な感想ばかりですみませんね」
バッハの『プレリュード』第12番。それからショパンの『夜想曲』第2番」
「定番の曲目ばかりですね」
「そう。シューマン、ショパンは今年生誕200年。バッハとショパンは今回発売のCDに収録されている」
「はい、CDのCM」
「ここでお話。『ある愛の歌』と『枯れすすき』を同時演奏なんてのもやった。曲名の説明が間違っていた……わしゃ、しっかり聞いちゃった」
「失礼ですねえ」
「演奏に戻って『小さな北国の歌』、それから『不思議の国のアリス』」
「アリスは最近話題の映画もあるようで……」
「今日の曲はディズニーアニメの。また話になるが、ショパン作曲の『たなばたさま』『どんぐりころころ』をご紹介」
「え……そんなのあるんですか」
「ない」
「きっぱり言いますね」
「ちょっとしたジョークじゃ。グロリューなどがやっているな……続いては真面目な演奏で、バーで一杯やっている雰囲気で、『ブルーレディに赤いバラ』『時の過ぎ行くままに』」
「真面目になって一杯やるんですか……でも、いい雰囲気ですねえ」
「またトークの時間。今度はボサノバ演奏。伴奏だけで両手を使っているのに、更に旋律も弾いちゃおうって……多重録音でなく弾いているという逸話を披露」
「へえ、すごいテクニックなんだ」
「CMでお馴染みの『マホガニーのテーマ』『ロマンス』、そして最後に『霧のレイクルイーズ』」
「あっ、最後の曲は……」
「これは2003年の演奏会でCDと譜面を発売、わしはこれをいただいて、フルートで演奏した」
「ピアノ曲でしょ」
「そう。ちょうどその頃カナダへの出張が続いた。泊まるホテルが、ホテル・バンクーバー、エンプレス、そしてレイクルイーズホテル
「へえ」
「それで、ここで演奏する機会があったので……どうしてもこの曲を演奏したかったのじゃ」
「はい、今日は思い出の演奏会となったんですね」
「ということで、7年前の写真もお渡しした」
「はい、ちゃんと用意して行っていたのでございます」
「ともかくも、トークも演奏も、とってもいい雰囲気の演奏会でございました」

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