3月22日 行徳落語会 柳家ろべえ 東海道ひとり旅

「さあ、行徳I&Iで行われております柳家ろべえ君の落語会でございます」
「先月はお休みでしたね」
「ろべえ君がイタリア公演に行っていたので」
「イタリアですか」
「今回お土産にイタリアの飴をもらった」
「いいですね」
「まあそういうことで、本日はこれぎり」
「……また……お土産もらったら安心するんだから」
「あ、そうか……ろべえ君の一席目……いきなり『ゲストのきつつきさんをお目当てに』って……お前の勉強会だろう」
「おかしいですね」
きつつき君も後でネタにしていたがな……まずは今行われている落語協会の真打昇進披露興行。ろべえ君は三之助の番頭に任命されているのじゃ」
「忙しいですね」
「こんな所にいる場合じゃない」
「でもねえ、こちらも大事ですから」
「それで、その真打披露の様子をご紹介。で、それから続いてイタリアの話」
「え、まだマクラが続くの」
「そう。イタリアでうまかったのはコーヒーだけだなんてことで……ここまで22分」
「長いですねえ」
「それで旅からつながりで『噺家の夢』に」
「いかがでした」
「明るい勢いのある高座。真打昇進の興行で、テンションが上がっているのか、いつものけだるさがいのは寂しいが、とにかくマクラから本編までいい出来じゃった。ただ……」
「何か問題でも」
「本題は10分で終わり」
「あらら」
「さて、ゲストは三遊亭きつつき君」
「もう紹介されています」
ろべえ君の落語協会は10人で『TEN』というグループになっている。それに対して、彼はTENと同期だが、円楽一門では一人しかいない」
「あら」
「芸協でも、この年の入門者は桂夏丸君ただ一人」
「あらら」
「で、3月末日にこの二人で『TWO』という会をやることになった」
「あららら」
「そのうち『TWELVE』をやろうって話が……」
「ありそうですね」
「で、今日の出し物は『火焔太鼓』。もちろん、志ん生の大爆笑落語としてお馴染みじゃが、きつつき君のものは大筋は同じ」
「違うのは」
「喧嘩ばかりしている夫婦の情愛の深さかな……とにかく、妻、小僧、門番、用人と、相手が代わり、そこでドラマが展開する、傑作じゃなあ。もちろん、演じる者がしっかりしていないと……真打なのに今一なんてことがよくある」
「はい、ここでお仲入り」
「最後はろべえ君の二席目で『雛鍔』。日本橋で効いた右團治師匠のものは子供のいかにもわざとらしい『こんなもの拾った』が印象的だった。あれなら『わざとらしい野郎だ』って台詞はいらない」
ろべえ君は」
「父親の心情がよく描写されていた。同じ場面で、あっけにとられ、隠居の言葉にうれしくなって……などという表情がよかったぞ」
「はい、そういうことで」
「うんん、若手の会として今回は実に素晴らしい上々の会でございました」

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