京都・奈良への旅18:京都その11「歴史博物館」(2月5日)
「さあ、元の道を東へまっつぐ戻ります」
「どこまで」
「まあ、このまま行けば本能寺まで行くのじゃが……一昨年の秋、行ったので、本能寺も二条城も省略……実は時間に追われている」
「例によって忙しい」
「こちらは市立歴史博物館」
「これも秋に行きましたね」
「そう。源氏物語展の第1号入場者で、テレビにも出たぞ」
「はいはい」「これは羅城門建築中の様子」
「なるほど。ここへ来たのは商売のためですか」
「こちらが完成した羅城門」
「あれ……「羅生門」じゃないんですか」
「正式には羅城門。羅生門と書かれたものも無くはない。芥川龍之介が人間の生きる姿を重ね合わせて小説のタイトルを『羅生門』とした」
「へえ」
「本物は駅の南、東寺の東塔から西へ行った所にあった。もちろん今はここにあったという石碑が残っているだけ」
「こちらは庭園ですか」
「東三条殿、『大鏡』では兼家がこの住まいを修復したので東三条殿(人物名じゃぞ)と呼ばれている。後に道長が利用し、『源氏物語』で光源氏が建てる六条院はここがモデルだと言われている」
「国語の資料になりそうですね」
「こちらもそう……武士の台頭を表現した一こま。これから平家が力をつけ、藤原氏を押さえて実権をとることになる」
「なるほど、歴史博物館ですねえ」
「まあ、その他色々あって、見るのはいいが……」
「何か」
「一昨年は『源氏物語展』もあって、これなら安いなと思ったものじゃ」
「じゃあ、今回は」
「特別展の入れ替え中、その関係で見物する場所も写真で紹介した一つの階ともう少しだけ……田中絹代展だか、小さなスペースでなあ……これで500円は高い」
「タイミングが悪かったんですねえ」
「はい、これから旅館へ帰って京都の人達による接待ということで……」
「本日はこれぎり」