12月22日 明治座公演「最後の忠臣蔵」

「さて、今回は明治座公演、『最後の忠臣蔵』に」
「忙しいですねえ」
「この舞台、西郷輝彦さんが大石内蔵助を演じナレーターを務める」
「話題になっています」
「実際の主役は中村梅雀さんで、討入に参加しながら、自害せずに大石からその真実の姿を伝え、遺族を守ることを託された人物」
「討入から始まるのはおもしろいですね」
「まずはこの男の苦悩がしっかりと描かれる。第2幕では恋をするが、田村亮演じる男の助言により自首したために、その恋も破れる」
「恋愛ってドラマになりますね」
「ただ、全てを信じて待ち続けるはずが、半年で別の男を作って……」
「あらら」
「第3幕では、討入前夜に逃げ出した親友と再会。この友人は同じくらいの年齢なのじゃろうが、どうも若いな」
「まあ、若く見る人もいるから……年齢は分かりませんね」
「これが失踪した謎が解かれて、スッキリするはずなのじゃがなあ」
「何か引っ掛かりますね」
「うん……まず、この男の失踪理由……具体的なものはともかく、誰でも推察出来るもの。それからこの友人が勤めを果たして自害しようとしているのを見抜く」
「主人公がこれを止める」
「そう。それが説得出来ればいいのに……」
「あら……出来ないんですか」
「何とまあ、大石の幽霊が登場して生きることを命令する」
「あらら」
「まあ、仕方がない。大石さん、第1幕で適当に活躍し、自害するまでは舞台で……ナレーターは録音じゃからなあ」
「出番が少ない」
「まあ、最後にもう一度姿を見せるのも、当然といえば当然の演出なのじゃが」
「ストーリーとしては納得いかない」
「まあそういうこと。舞台がどんどん代わるが、それが見事。出演者の演技も上々。だから見応えのある舞台じゃ」
「はい、満足ですか」
「そう。納得の行く舞台じゃ。まあ、その後、挨拶をして、古今亭志ん朝が劇で演じた落語の録音をいただいた」
「あら、これも貴重な」
「後は、楽屋へ差し入れ。代わりに本にサインをいただいた」

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