11月25日 第5回品格のある落語会

「そういう訳で、この日は『品格のある落語会』へ」
「これはお馴染みの会ですね」
「今回が第5回。とりあえず皆勤賞じゃ」
「はい」
「これは桂夏丸君の会。もう勉強会というより独演会という雰囲気がただよい始めている」
「良くなっているということです」
「1席目は『一眼国』、また珍しい作品。香具師が六十六部にご馳走するからと話を聞きたがる様子、話が聞けないと掌を返したように冷淡になり、話題が出るとまたコロッと……この辺りの呼吸がお見事。落ちまでのテンポも素晴らしい……ナマで聞いたのは何十年振りじゃろう」
「珍しい一席ですね」
「続いてはお馴染みの『青い鳥』。円右師匠に教わり、上げてもらおうと思ったら師匠が亡くなったので、寿助師匠に見てもらったそうじゃ。寿助師匠の会に呼んでもらうと、必ずこれを演ってくれってリクエストが入るらしい」
「これも珍しい一席」
「歌と踊りで馬鹿馬鹿しいから、そこそこの年齢の人は教わろうと思わないじゃろう。若いから物になっている」
「じゃあ、年をとったら出来なくなる」
「いや、円右師匠は年をとってから演じている。まあ、あのキャラじゃから。身につけたものとして、将来演じ続ける可能性は高い」
「はい、ここでお仲入り」
「食いつき兼トリの一席は『酉の市』。これは師匠からじゃな。ビヤや水割りでステーキを食べるというから、新しい時代ということになるのじゃろうか。珍しいというだけの一席」
「珍しいって私の台詞です」
「昨年初演している。まあ、このような珍しい噺も残しておかないと……という程度にしか感じなかったが、今回聞くとなかなか面白い。お酉様の雰囲気、熊手を買うという場面があるから……後半だけなら残す価値は疑問じゃ」
「風俗があるからOKってことですか」
金馬師匠がお正月にしかやらない『七草』って噺があって、これも昨年生まれて初めて聞いた。まあ、時期が限られてしまうが、貴重な演目になるじゃろう」
「はい、今日は3席全てがこれから生きる演目になるということですね」
「そういうこと。それで、打ち上げに参加して終電で帰ったという一席でございます」

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