11月22日 ひだまり寄席

「さあ、またもやって参りました。取手のひだまり寄席
「今回もお馴染みの顔をそろえました」
「まずは橘ノ双葉ちゃん。4月に二ツ目になったから、昨年からの改善を要求」
「また……」
「出し物は『やかん』。文治師匠の流れじゃな。後で聞いたら平治師匠かららしい」
「で、いかがでした」
「口調はまだ物足りない部分があるが、講談になってからはいい。『やかんになった』で落ちにして決まっているのもお見事じゃ。やはり一段階の成長は見られる」
「ほめていますね」
「いや、まだまだこれからの演者じゃろう。だから、芸もまだまだなのじゃ。しかし、応援してやる理由は2つある」
「何です」
「客や他の演者への気遣いが素晴らしいこと、それから、今日も、向こうからわしに挨拶をしたこと」
「我が儘な判定だね。続いて三笑亭夢吉君」
「年季の差はわずか3年じゃが、これだけ違うというのを見せた。マクラから客の心をつかみ、雰囲気を作り、本筋に入って行く」
「出し物は」
「ちょっと遅めの『目黒の秋刀魚』。我が儘だけを強調した品のない殿様が多いが、彼も同じ……と思ったら、『本当のお殿様はこんな品のないことはしない』ってんで、ちゃんとやり直す」
「へえ」
「若さから我が儘さは見えるが、品のあるいいお殿様じゃ。見所が幾つもあって素晴らしい高座じゃった」
「ベタほめですね」
「それだけの内容があったな」
「仲入り後は湯浅大吾
津軽三味線。神奈川の出身じゃが、青森でこの音色にひかれたという。お笑いの中に入るのは初めてだそうじゃ」
「はい。内容は」
「もちろん、いいに決まっている。お馴染みの激しい曲に静かなものも交えて、色々な曲があることも示してくれた」
「さあ、トリは笑福亭笑助
「上方噺。笑瓶の弟子じゃ。ボソボソと話し始めたマクラで、一口小噺をいくつか並べると、これがなかなかいい感じ。頼りない方の上方言葉が雰囲気を作った」
「小噺でトリも面白いですね」
「まあ、そうも行くまい。『田楽食い』、東京では『寄合酒』に組み込まれ、『ん廻し』などとも呼ばれている。飲み始めるまでの経緯がいかにも上方らしくて面白いな。HPの内容も改訂が必要じゃな」
「具体的にはどうなんです」
「酒を全部駄目にしたと言って、兄貴の酒をご馳走になろうというたくらみ。で、無事いただくとなると、ん廻しが始まる。言い回しは見事。有名な薬屋の言い立てで落ちにしていた」
「ううん、みんないいですね」
「そう。このシリーズでは上々かな。さて、次回は2月13日の土曜日。何と全員芸協と決まった。鯉太君、いや、鯉太師匠に枝太郎師匠。二人とも今年5月に真打になったばかり」
「このシリーズで真打は珍しいですね」
「若手のシリーズじゃからな。前回の今輔師匠が異例だった。それから桃之助君。陽・昇の漫才」
「あら……このブログでお馴染みの顔ぶれですね」
「今度の企画にはわしは参画していないのじゃがなあ」
「まあ、いいことです。皆様もぜひ」
「はい、楽しみにして下さい」

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