芸協まつり その2:真打登場(その2)

「芸協まつり、昨日に続いて真打の師匠方をご紹介」
「順番はお会いした順で、他意はございませんので」
「と解説して、実は1回目にご紹介した会長の桂歌丸師匠は、順番で行くとこのあたりに入るのでございます」
「サインはなしということでしたが、写真撮るのも大変だったでしょう」
「写真を撮るのに150人くらいの行列が出来ていたな……大変なことじゃ」
「大家さんは図々しいので並ばなかったんですよね」
「まあ、それはその……」
「申し訳なさそうにしているのは、仮の姿でございます」
「右の写真は桂平治師匠。1999年真打になる前から、噺家の礼儀というものを見せてくれていた人。その頃は、ちょっと小柄で、いかにも噺家さんらしい雰囲気を持っているので、一目で覚えてしまった。高座は一度も見ていないのに」
「え、そんなことがあるんですか」
「色々な落語関係のイベントに、挨拶に来ている姿を目撃していたのじゃ。実際に寄席で見たのは2003年。それは大変なドラマがあった」
「何です」
「家を出て自転車で駅まで行ったら、信号無視の自転車に突っ込まれた。まあかすり傷だったので、そのまま寄席へ行ったのじゃが、寄席でヨッパライが芸人にからんで……ひどい。わしが『酔っ払いを見に来たんじゃねえぞ』ってどなろうと思ったら、わしより先にその時の演者が『つまみ出せ』……その後出たのがこの師匠で、『おれは客だといばったって、入っているのは皆さん同じお金を払っているお客さんなのです。その、他のお客さんの邪魔になるのはいけない。だから、我々の方ではそういう客が入っている時はいい芸は出来ません。逃げの噺という……そういう噺だけでお茶を濁してしまう。今日はもうそういう日になっちゃったんです』……見事だね」
「話が長くなりましたね」
「まあ、今でも注目の噺家さんじゃ話が長くなったから、写真はもう上に行ってしまった
桂米多朗師匠。今年もお店でがんばっています」
「昨年はお隣に美しい方がいらっしゃいましたねえ」
「実は同じ干支で一回り違う。共に美人妻を持っているというのでウマが合う」
「……」
「……」
「……」
「ああ、怖かった」
「奥さんが覗いたから、そういう説明をせざるを得ないですね」
「右は今一番いい噺家といってもいいな。春風亭小柳枝師匠」
「お会いできて光栄です」

「次の写真じゃ。右のおっさんは桂歌春師匠」
「どうでもいいって扱いみたい」
「まあ、2005年の遊史郎歌蔵の真打昇進披露などで一緒に写真を撮っているから、もういいや」
「いい加減だね。それで左の女性は」
「はい、美女のコーナーでご紹介」
「じゃあ、次へ参りましょう」

「怪しい噺家、三遊亭笑遊師匠。最近目がつぶらで可愛いことに気付いた」
「どうでもいい」

「これも大御所、三遊亭遊三師匠。声の大きさもお墨付きだが、噺もいいぞ」
「いいですねえ」

三遊亭右紋師匠。お店ではお馴染み婆ん家スタイルで活動されています」
「昨年の写真はそれでした……恒例のスタイルですね」
「今年も撮影しているが、公開はツーショット写真と致しました」
「はい」

「早めに帰るつもりが、結局最後まで待ったのは、こちら、笑福亭鶴光師匠をお待ちして……何としても話をしたいことがありましたので……」
「図々しいから我慢をして下さい。
「持っているのは『つるこうでおま』という本。もちろんサインをしていただいた」
「ということで……一日が終わりますね」
「2回に分けて真打のみ、ほんの一部をご紹介。明日はこれから期待の若手をご紹介いたします」
「あらら、まだ続くの」

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