ろべえ・夏丸・仙花 勉強会 50回記念スペシャル

「さて、象牙彫刻展で合流した夏丸君の一味と……」
「一味ですか」
「いや、一族の皆々様とご一緒に両国へ移動……」
「また顰蹙を買いますよ」
「それでまあ、せっかく両国に来たのじゃから、ちゃんこ鍋で一杯やって……」
「え、また飲むの」
「股で酒が飲めるか」
「前のページでも使った洒落だね……注、大家さんは昼間、住んでいる所の寄り合いで、かなりの量を飲んできたのです」
って店で一杯……右はちゃんこ鍋の写真」
「おいしそう」
「豚肉をメインにしたので、『豚ちゃん鍋』という商品……『ちゃん』は『ちゃんこ』の略じゃ」
「誰だって分かりますよ」
「……お前は『豚ちゃん』と『鍋』を分けたのがわしだけだと言うのか」
「他にいないと思います」
「まあ、これで腹も一杯、満足して帰宅したのでございます。本日はこれぎり」
「また……飲み食いすると満足しちゃうんだから……今日は勉強会でしょ」
「あれ……ああ、そうか……忘れて本当に帰るところだった」
「しょうがないね」
「三人の勉強会も、今回が50回。いつも上野黒門町の落語協会2階でやっているのですが、今回はお江戸両国亭でのスペシャルでございます」
「続けるのも大変ですよね」
「前座時代から同じメンバーでの勉強会はすごいな。毎月1回じゃから、4年以上になる」
「大家さんが岡山に行った時に始まったんですね」
 「2005年、この時はたまたま帰京した折、2回も参加できた。左上の写真はその年の12月、ろべえ君(当時小たま)の真打昇進が決まり、二人がお祝いだっておちょくっているところ」
「おちょくりですか」
「現場を見ていないと分からないかな……この写真はその後のチラシに使ってくれた。『寝床』と結びつけたところにさすがと感心したものじゃ」
「懐かしさに浸っていますが」
「その翌年はスケジュールがあわずに参加ゼロ。2007年4月に関東へ戻り、翌月からこの年は8回は全部参加できた」
「よく行きますね」
「さて、昨年は忙しくて2月、4月、5、6、9月の5回のみ」
 「平日だと、退勤時間に飛び出しても、上野着が開演時間とぴったり一致するのでございます」
「そして今年も、1月から3月まではどうしても行けなかった」
「4月からは皆勤ですね」
「50回のうち22回か……」
「2年間地方に赴任していたのですから、かなりな出席率ですね」
「そういう思い出が走馬灯の如くよみがえって来るなあ……ということで、本日はこれぎり……」
「また終わらせる……勉強会の中身を報告して下さい」
「そうだった……また忘れちゃって……」
「いよいよ駄目ですかねえ」
「まずは桂夏丸君で『城木屋』。こうした地噺でストーリーのしっかりしたものがよく似合うように感じられて来たぞ。最後の言い立ても見事……もう少し宿場名を一つ一つ確認した方がいいのか……いや、これでいいという気もする」
「分からないんですね」
「とにかくいい調子の言い立て。お見事じゃ」
「続いては鏡味仙花ちゃん」
「今年は忙しくて寄席の掛け持ちがあった……4月以降わしが皆勤なのに、ちゃんとした芸を見たのは今年初めてのような気がする」
「あらら」
「昨年の入院の話から、傘、撥(ばち)など……」
「やっと色々見られました」
「ずーっと上、右の写真は4年前の撥」
「さて、中トリは柳家ろべえ君。風邪をひいたそうじゃ。●●のくせに」
「また、失礼な」
「マスクを掛けて登場。試みにマクラはマスクのまま」
「変なの」
「やっぱり違和感があるな。マスクを外したので、客席がみんなマスクを出したり、ハンカチで口元を覆ったり……」
「大変ですね」
「ずーっと上、左の写真はやっぱり4年前のもの……カメラを向けるとこのポーズ……いかにも慣れていないという……初々しさを無理に作っている」
「ひどい言い方」
「出し物は『二番煎じ』。面白いが、疑問も」
「どういうところに」
「夜回りをしているのは、店の主人たちということなのじゃろうな。それにしてはちょっと品のない台詞回しが多いように思う」
「まあ、でも面白かったということで」
「はい、後半は余興。まずろべえ君がスーツで登場」
「それは何のつもりで」
「モノマネ。実は直前にトイレで逢ってこの格好を見たからすぐ分かった。彼は、この真似をする人の……出ている番組かな……ともかくファンなのじゃ。『亀山君』と一言言って終わり」
「え、もう……」
「まあ、上の写真の服装でご想像下さい。それで、喜多八師匠の歩き方で退場」
「それだけですか」
「それだけ……続いて仙花ちゃんは日本舞踊。『近江八景』を本格にたっぷり」
「色々勉強しているんですね」
「国立では必須なのじゃ……そして、トリは夏丸君の歌謡ショー。おなじみ『啼くな小鳩よ』から『憧れのハワイ航路』……以下略」
「どうでもいいって扱いですね」
「いつもより500円高いのに、こんなの見せやがって……ってんで、客席から非難轟々、テープを投げつけられて埋もれてしまったのが右の写真」
「すごいですね」
「かくて、無事終了。来月からは場所も木戸銭もいつもの通りに戻ります」
「はい、これにて終演」

日本の象牙彫刻展へ戻る      表紙へ戻る

inserted by FC2 system