10月18日 日本の象牙彫刻展

「さて、この日は大忙し」
「いつでも忙しい」
「まず午前中に地元の草取りに参加」
「あら、不精な大家さんが」
「しっかり草をとった……わしの家の駐車場の周りだけが見違えるほどきれいになったぞ」
「あれ……」
「それで、お昼は皆さんと食事。災害時の炊き出し体験ということで、役員の皆さんが豚汁を作ってくれた。それから市役所から、緊急時の食事としてストックされているレトルトの炊き込みご飯を試食」
「サバイバルになってきたな」
「そんな調子でビールも出たので、喜んでいただきました」
「相変わらずですね」
「各グループにノルマとして半ダースのビールが配られたが、わしのグループは子供とあまり飲めない人が多いので、乾杯したら皆さんはほとんど終わり」
「まさか……」
「仕方が無いので、ノルマはわし一人でクリア」
「また飲みすぎですよ」
「股で酒が飲めるか」
「訳分からないことを言わないの」
「いやあ、腹も膨れたので、本日はこれぎり」
「……大家さん、タイトルが」
「え……あれ……どうして忘れちゃったんだろう」
「そろそろ危ないですよ」
「さて、一服したいところじゃが、これから上京しなければならぬ。電車のおかげで上野まで40分ゆっくり眠れる」
「しょうがないね」
「それから乗り換えて東京駅へ。日本橋高島屋で、『日本の象牙彫刻展』」
「はい、これは桂夏丸君のお父様が出品なさっています」
「今日は夜が夏丸君たちの勉強会。親子リレーとなるのでございます」
「だから忙しい」
「ポスターの、左下がお父様の作品じゃ」
「ポスターはもうはるか上に行っちゃいました」
「手の込んだ作品も素晴らしいし、素材を生かしてあっさり作ったものにも味わいがある」
「色々あるのが面白いですね」
「お父様の作品は『虎の医を借る狐』ってんで、虎のお医者様に診てもらっている狐。虎は両手で別の器具を扱い、後ろにカルテも持っている。狐も右手にはマスク、左脇に体温計をはさみ、診察料に使うのじゃろう、葉っぱを手にしている」
「色々面白いですね」
「さすが、落語家さんのお父さんという……発想が面白い」
「見て楽しいですね」
「これに啓発されて……左はわしの作品」
「あれ……夢の字ですが裏返しですね」
「『夢は逆夢』と読む」
「変なの」
「というわけで、満足して帰宅しました」
「え……今日はこの後落語会でしょう」
「あ、そうか……忘れちゃった」
「しょうがないね」
「まあ、とりあえず長くなったので、続きはまた次のページで」
「あら、続く」

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