市川の旅:その6・EGK演奏会

「さて、市川を散策したが、すっかり疲れてしまった。それで、ふと見かけた演奏会……」
「またまた予定外で……」
「受付で、俺を誰だと思っているんだと言ったら、ただで入れてくれた」
「また迷惑を掛けているな。どういう演奏会ですか」
Ensemble Großen Künstlers(アンサンブル・グローベン・コンストラーズ)。某大学のOBによるオーケストラじゃ」
「で、内容は」
「まずはメンバーの抜粋によるブラームスピアノ五重奏曲ヘ短調。ちょっとヴァイオリンが弱いかな。ビオラとチェロとのアンサンブルがもう一つ。演奏はいいのでもったいないな」
「はい」
「続いてコンバースというグループ。写真右」
「コントラバスばかりですか」
「軽い曲も重々しくなってしまう。そのギャップが面白いかな」
「はい」
「客席には子供も入って、手拍子をしようが歌おうがかまわないという……」
「いいじゃないですか」
「それなら、そのような選曲をしないとな……最初の曲は『鉄腕アトム』」
「子供向けじゃないですか」
「さあ、今の幼い子供が知っているかなあ……大人は喜んでもねえ……リズムから旋律までバスの低音なのが重々しいアトムで面白い」
「なるほど」
EGK2「さて、続いて最後の曲」
「え……もう」
「このグループは約10分という予定なのじゃ。季節にふさわしい『卒業』メドレー」
「え……季節合いませんが」
「小さいことは気にしない」
「しません」
「これもちょっと昔の歌謡曲などから……やはりおじさん向けじゃな……わしより年下に受ける選曲」
「大家さんはもうお爺さんになりますかねえ」
「さて、ここでアンコール」
「え……アンコールつきですか」
「さっきのメドレーの曲に『乾杯』があったから、今度はヴェルディの『乾杯の歌』」
「いいつながりですね」
「テナーとソプラノを一人で演奏していた。せっかくだから分けて掛け合いにした方が面白いな。最後の繰り返しで重々しく歌うのが面白い」
「はい、楽器の音を生かした編曲ということですね」
「さて、更にアンコール」
「え、まだあるの」
「最後にやっと子供向けに『ポニョ』。やっと子供が理解出来る曲の登場」
「良かった良かった……でも、メインが2曲、アンコールが2曲ですか」
「まあ、楽しければいいのじゃろう……そして休憩をはさんで、オーケストラの登場」
「もう写真ではスタンバイ出来てますよ」
egk3「曲はシューベルトの『ザ・グレイト』。とにかく第1楽章が勢いで行ってしまう。第2楽章の木管も同じ勢いで行ってしまうから、ちょっと疲れる。第2楽章が少し落ち着いて救いになっているかな……とにかく長い長い第4楽章まで、勢いがある」
「長いんですか」
シューマン『天国的な長さ』と評しているのじゃ」
「天国ってのがすごいですね」
「まあ、シューベルトって、旋律はうまいが、展開があまり……だからメロディが次々と変化して……そういうこと」
「はい、大曲でした」
「これでたっぷり2時間半……勢いで行っちゃうというのが全体の印象。でも、それが若さかな。若いだけに勢いがあるが、磨く部分もあるということで……」
「はい、これから落語会へ」
「これも若手の会じゃから、同じことが言える」
「もう評価ですか」
「詳しくはまた次のページで」

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