名古屋の旅 その8 徳川園・徳川美術館

「さて、2日目、今日も名古屋まつりで市内はにぎわっております」
「大変なお祭りですものねえ」
「さて、今日はまず徳川園へ」
「今日も日本庭園ですか」
「入場料300円……もちろん、払わずに入園」
「図々しい」
「これは尾張徳川家の邸宅で13万坪。これも山から海へという流れをメインにした回遊式庭園じゃが……」
「言葉を濁しているのは、何かありますね」
「あまりいい出来とは思えないな。昨日行った白鳥公園が新しいのに、古来の美を追求しているように感じる。こちらは徳川家の庭園で、当然江戸時代からあったものらしいが、どうもそういう芸術的な観点が不足しているように感じられるな……」
「どこが……です」
「これを的確に説明できたら、わしは庭園評論家になっている」
「はは、結局はいい加減な親父なんで、あまり気にしないように」
「はい、そういうことで、写真を後2枚ご紹介」

「写真は悪くないですよ」
「そう、決して悪いとは言っていないぞ。素晴らしい庭園であることは間違いないのじゃ」
「はい」
「で、南へ抜けると、そこに徳川美術館がある」
「これは徳川家の所蔵の品なんでしょうか」
「初代の当主、家康の九男だとか……以下の遺品を中心に1万点以上を集めたという。それもいいが、ここの絵巻などが素晴らしいのじゃ」
「へえ」
「今回はここで開催されている『物語の森へ』というのが、ちょうど最終日。ぜひ見たいとせがんで連れて行ってもらった」
「いかがでした」
「図々しいことに入場料を取る。1200円だというから、千円に負けろって……まあ、それで入った」
「どっちが図々しいんだか……私が聞いてるのは、美術品がどうだったかってことですよ」
「満足した。竹取伊勢から源氏を経て、それぞれの作品への愛着があるのじゃな。落語の『お茶汲み』の関連といえる『堤中納言物語』の『はいずみ』もあって、女の立場から描かれているのが面白かった」
「はい、良かったですね」
「ここでは土産を要求したら源氏物語の絵はがきをくれた」
「土産まで……本当に図々しい」
「庭園が開く時刻を狙って入り、30分で見て、美術館開園と同時に入館。30分くらいで次へという予定だったから大急ぎで回ったが、やっぱり丸1時間かかった」
「あら……後の予定は」
「これから犬山へ行って、幾つかの施設を回る予定だったが……」
「もう11時でしょ……向こう着いたらお昼じゃありませんか」
「それは現地の人が考えるので……」
「わがままだね」
「はい、明日へ続く」

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