名古屋の旅 その2 白鳥公園

「さて、熱田神宮を出て、白鳥(しろとり)公園へ」
「歴史ある庭園なんですか」
「いや、完成して18年という新しいもの。ただ、日本庭園の基本を生かしていることが分かる」
「そうですか」
「場所は神宮から堀川を超えた西側」
「はい、中へ入りましょう」
「水の使い方が素晴らしいな。築山を御嶽山に見立て、そこからの流れを木曽川としてデザインされている。この水の使い方がなかなか見事じゃ」
「ほう」
「日本庭園はこの源流の山深い趣、渓流の雰囲気、そして海に出る。池が伊勢湾ということになるな」
「世界が変わるんですね」
「日本庭園はそうした幾つかの世界を持つ。それぞれが独立し、調和し、全体をまとめ上げる。それが日本庭園の評価じゃな」
「さっき水の使い方が見事って言いましたね。つまり庭園自体がいい出来ってことですか」
「そうなる。まあ、その水の写真を2枚」

「なかなかですね」
「これらの自然と人間の作ったもの、橋や道、飛び石、そういったものが調和すると更に見事な庭園になるな。そこはもう一つ」
「右の写真には橋も写っています」
「これが一番調和を感じる写真。更に人間の生活を感じる茶室まで……庭というのは人間の住む世界。人間の感じられない世界ではならないのじゃ」
「はい。今日はこれぎりですか」
「いや、もう少し回ろう」
「川を渡った向こうに、白鳥古墳がある。これは前方後円墳で、日本武尊のものという伝説もある。日本武尊が死んで、白鳥に変じて飛び立った。その降りた所がここだというのじゃ」
「ああ……じゃあ、熱田神宮から、白鳥って地名も全部関連事項だったんですか」
「そういうこと。だからちょいと昼飯前に回っている訳じゃ」
「写真は古墳ですか」
「ただの山にしか見えないから、写真は面白くない。入り口にある本居宣長の歌碑


  尾張のあつたなる
  白鳥御陵にまうでて
         宣長
  しきしまのやまとこひしみ
  白とりのかけりいましし
  あとゝころこれ


尾張の熱田にある白鳥御陵に詣でて(詠んだ歌) 宣長
(敷島の=枕詞)大和恋ひしみ白鳥の翔りいましし跡所これ(敷島の大和を恋しく思ったあの(日本武尊)の白鳥が飛んで来たというその跡の場所がここですよ
』くらいの意味じゃろうか」
「さあ、お昼食べに行きましょう」
「これはまた明日」
「はい、名古屋の旅はまだまだ続きます」

堀川周辺へ進む   表紙へ戻る   熱田神宮へ戻る

inserted by FC2 system