9月20日 ろべえ勉強会「東海道ひとり旅」

「これも恒例となりました、行徳落語会……柳家ろべえ君による『東海道ひとり旅』……と言いながら、いつもゲストがいる会でございます」
「説明が長いね」
「東海道53次に起点と終点を入れて55回を目標に始まり、無事折り返し、来月が3周年となる」
「来月は夏丸・仙花との勉強会も50回記念ですね」
「お祝いが重なるな」
「さあ、それでこの日は」
「連休の中、しかも、またまた師匠である喜多八の会とブッキング」
「あらら」
「そういう訳で、お客さんは4人」
「ちょっと寂しいですね」
「こういう時に一生懸命やっておかないとな……まずはろべえ君の1席目、『ちりとてちん』。まあ、これはそれぞれの演出の微妙な違いが面白いので……細かいところまできちんと演じているから、よしとするか」
「満足はしない」
「いや、この噺そのものが受けるように出来ているから……いつもいうように、落ちがちょっとだがな」
「はい。続いては今日のゲスト」
柳家こみちちゃんで『堀の内』。ちょっと考えたのは、神田からお祖師様までの距離」
「どうなります」
「神田駅からほぼ西へまっすぐ、12,3キロかな」
「普通歩いて3時間くらい」
「そうなるな……往復するから、ちゃんと弁当持参で出掛ける訳じゃ」
「なるほど、で、こみちの芸は」
「粗忽者の雰囲気は悪くない。もっと訳の分からない粗忽さも面白いが、まあいいかな」
「上々ですね」
「で、アンコールで『本膳』」
「え……アンコールつきですか。そう、『堀の内』は初演で、『本膳』は今積極的に取り上げ始めたもの。まあ、これからという演目じゃが、なかなか面白いな……『本膳』は子供の頃から絵本などでお馴染みなのに、聞くのは少ないから」
「はい」
「仲入後はろべえ君で『船徳』。若旦那が決意し、船頭達に挨拶をする発端からきちんと演じた。竿が柔らかいらしく、ぐにゃっとなっていたが、まあ、これからのネタ。全体にはとても良かった」
「無事終演ですね」
「いや、ここでアンコール」
「またですか」
「それが何と『かんしゃく』。これも先代の文楽ネタ。文楽から小三治と、聞いていて辛くなるくらいに、腹の立て方がリアルだった。師匠の喜多八は少し柔らかくしていた」
ろべえ君は」
「更に柔らかめを……つまり、最初の叱りまくる場面でも笑いを取るくらいでないと、聞いていて辛いのじゃな……これはろべえ君、いい持ちネタになりそうじゃ」
「今日はまた、随分いい出来のが多いですね」
「そう……客が4人じゃもったいない……そういうことで、打上。客の半分が帰って、こみちちゃんも用事があって……わしともう1人に、席亭とろべえ君夫婦、合計5人で」
「こちらも寂しい」
「いや、大変に盛り上がった。芸談やら何やら……わしも研究した小噺をいくつか紹介……」
「プロの前でやるな」
「ということで、来月は11日の日曜日、落語芸術協会の創立記念日でございます」
「はい、皆様もぜひ」

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