9月17日 第4回品格のある落語会

「さあ、恒例となりました、神保町のらくごカフェで行われる『品格のある落語会』」
「これは桂夏丸君の独演会ですね」
「第1回は歌謡ショーがあり、第2回は古典2つに新作1つ、第3回は特別ゲストにわさび馬るこが登場してびっくり……」
「今回も何かが起こる」
「その予感はある」
「1席目は『青菜』。夏の噺なのじゃが、今日が初演じゃ」
「ちょっと遅いですね」
「気温が高めだったので違和感はないな。8月末に10月の気温と冷え込んだので、もう出来ないかと不安に思っていたという解説つき」
「で、出来は」
「いいな。最近は色々細かいくすぐりなどが多くなっていたが、それらが削ぎ落とされて無駄のない雰囲気だった」
「細かい部分をカットですか」
「粗筋をいい調子で追い、女房の柄の悪さを見せ、その女房が協力するので、女の可愛さもあるが……やはり、すごい……」
「女房が合格点ですか」
「そうじゃな。亭主と友達もいい。まあ、大店の主人の風格は、年を取ればもっと自然になる」
「はい、2席目へ参りましょう」
「何と、今回も特別ゲスト。神田蘭ちゃんの登場じゃ」
「あらら」
「今日の出し物は『婚活〜ファイティングまつこ』その第1章。これは話題のシリーズ。ちょっとしたきっかけから、こんなのが出来たという……すでに第2章も発表されているが、今日はその第1作。もうすぐ30になるまつこなる女性、おうのまつこ……阿武松子なのかな……彼女が結婚を真剣に考えるが、相手の草食系男性がどうも……そこで色々な活動が、という作品。内容が本人にぴったり。後の飲み会でいい相手を紹介しようかって言ったら、彼女はオッサンなので自分で見付けないとならないらしい……難しい世界じゃ……夏丸君も草食系じゃしなあ……」
「はい、次へ参りましょう」
夏丸君の2席目は『茄子娘』。これはもう手慣れた作品じゃな。主人公の坊さんに落ち着いた雰囲気が出て深見が増して来た」
「いいですね」
「さて、仲入りをはさんで最後に『いが栗』」
「これも何度か演じていますね」
「主人公と婆さん、それに怪僧、個性を描き分けるという必要もない人物配置じゃが、やはり怪僧の不気味さを伝えないとなあ……これは歌丸師匠の若き日の録音があるが、それほど面白いとは思わなかった。ナマで聞いたためだけではないようじゃな……もう録音の歌丸師匠は過去のモノになったのか、夏丸君がそのレベルまで行ったのか……」
「まだまだでしょう」
「そう……しかし、20代半ばでの演目とは思えないネタが増えているな……これは彼の一つの宝になるじゃろう。笑わせるだけでなく、人情味のある噺が出来るのはいいことじゃ……今は草食系で、頼りない雰囲気じゃが、これから風格も出ると、こういう噺が本当にいい味になるのじゃ」
「はい、更なる成長に期待しましょう」
「ということで、打上……10人のうち、男はわしともう一人。この一人が来月から大阪転勤……次回からわし一人か……もててもてて大変じゃな」
「ないない」
「次回のメルマガが、夏丸君の取り上げているネタなので、少しインタビューも出来た」
「はい、こちらもお楽しみに」

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