8月27日 お江戸日本橋亭

「昨日に続いて、今日も落語会へ」
「忙しいですねえ」
「今日は右のポスターにあるように、お江戸日本橋亭二ツ目の勉強会
「参りましょう」
「前座、一人目は桂翔丸。芸協で一番身分の低い者じゃ」
「若手ですね」
「出し物は『英会話』。さすがじゃ……」
「さすがというのは……上手だったんですか」
「いや、さすがに一番下の前座……まだ慣れていないから途中つっかえるし、間は空くし、とにかくテンポが……」
「本当にまだ若いから……ですね」
「そういうこと。これからだんだんなのじゃ。もう一人前座で昔昔亭A太郎。これがまた訳の分からない『面会』という噺」
「どんなネタです」
「入院している少年のお母さんが面会に来たが、特別ゲストとしてバスの運転手を連れてきた」
「……何です、それ」
「バースという一塁手のファンだというのを、お母さんが聞き違えたのじゃ。そこからずるずるとずれた会話が続く。このずれ方が微妙で……要するに訳の分からない……本人は二度と演らせてもらえないかなって言っていた」
「そんなことがあるんですか」
「前座で演る噺ではないな。多分後でみっちりとお説教が待っていることじゃろう」
「さあ、今回は二ツ目の勉強会ということで、まず昔昔亭桃之助
「『家見舞い』。ちょっとした調子におかしみのある部分が独特。これは鯉昇師匠からかな……これは聞くのを忘れた」
三笑亭可龍
「昨年、取手のひだまり寄席から応援団になりつつある。二ツ目では鹿の子と並んで次の真打候補。今日は『七段目』」
「これは出し物を発表になってから楽しみにしていたものですね」
「実際聞いて、期待以上の出来。素晴らしかった。空席が多いのにもったいないという、すごい出来。ちょっとしたところに挿入された聞いたことのないくすぐり、歌舞伎調の台詞の見事さ、メリハリ、すべてが上々。見応えのある一席じゃった」
「良かったですね」
「仲トリは
三笑亭月夢
「これはゲストで、今日唯一の真打ち」
「『二人旅』。わしは大袈裟すぎる演出のような気がするのじゃが、芸談を語ったので納得」
「はい、ここでお仲入り。食いつきは笑福亭和光
「『崇徳院』。これはこの間の堀の内寄席(23日)で桃之助が演じていた。同じものを東京と上方で聞き比べることが出来たのは面白かった」
「そうですね」
桃之助君も、後で落ちの違いなどが面白いですねって感想を述べていた。わしも初めて聞く落ち」
「面白いというのは、悪くはない訳です。色物でボンボンブラザーズ
「お馴染みの……実はお手伝いでわしも高座に上がった」
「え……」
「高座で芸をしたのは3度目じゃな」
「迷惑を掛けていますね」
「まあ、仕方があるまい」
「トリへ参りましょう……柳家小蝠……あれ、これも堀の内寄席に出ていましたね」
「うん、終演後、向こうから挨拶をして来たのは感心じゃ。口調がはきはきしていいな。今日は『質屋蔵』。人物がいい……実は桂歌丸師匠のCDがあるが、無許可で録音されたもので……」
「あれ……昨日もそんな話が……」
「そう……そして、その後の感想も同じ。録音にある歌丸師匠より、桁違いに面白い。熊さん、番頭さん、主人と小僧……とにかく人物一人一人が生き生きとしていて、聞いていて面白い。感心した。もちろん、これも鳴り物入りで、幽霊と道真公……これも夏丸君が取り上げているが、鳴り物がないと駄目だから滅多に演れないらしい」
「色々大変ですねえ」
「とにかく、素晴らしい会じゃった。客の数がこれはもったいないな……上野の鈴本など、詰まらない会でも大入ですごい拍手が起こるのに……」
「はいはい、これからですよ」
「そう。客の数に惑わされずしっかりと演じた若手に拍手を送って、ご報告と致します」

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