8月6日 上野広小路亭

「さて、前日に引き続き、またも広小路亭へ」
「毎日行きたいなんてほざいてましたが、本当に連続で行くんですね」
「前座は昨日と同じ瀧川鯉ちゃで、昨日と同じ『転失気』。昨日よりテンポ良くまとまっていたのは収穫じゃな」
「1日で変化するんですね」
「それが前座のレベルかも知れない。もう一人三遊亭小笑の『子ほめ』、情けない調子が少なくなり手際も良くなった。こちらもまだこれから」
「はい、顔付けに載っている人へ参りましょう。昔昔亭桃之助
「暗い感じがなくなり、いい感じになっている。『かぼちゃ屋』。与太郎が考えているのがまともに聞こえるのが危ないかも知れない。いい人物を作っているということじゃろうか」
春風亭笑好
「『短命』。分からない男とのやりとりをじっくり。やはり『ブリのアラ』が出てくるのが定番だと感じさせる一席じゃった」
新山ひでや・やすこ
「お馴染みの夫婦漫才。この芸協、夫婦、漫才が生き生きしているな」
桂米多朗
「『たがや』。トントン拍子で進み、活劇場面もよかった。くすぐりを少なくするとドラマになるのじゃな」
三遊亭左遊
「『ちりとてちん』。もそもそした調子だから、古典的演じ方になるのかな……もう少し勢いが欲しいな」
コントD51
「お馴染み、お婆さんコント……と言おうと思ったら、何と高校球児コント……冗談じゃない、いい年をこいて……って……中身はあまり変わらない」
「仲トリは三笑亭可楽
「『鰻の幇間』をじっくり。やはりいい味じゃな。漬け物が梅で味付けしてあるのがおかしい。履き物を『お連れさんが履いて帰った』という本来の落ち。本格はこの方が似合っている」
「仲入り後の食いつきは神田京子
「『ジャンヌ・ダルク入城』の一席。これは紅師匠が演っていたものかな。若いから生きがいい」
鏡味八千代・初音
太神楽。もっちゃりした口調が少しこなれたのか、こちらが慣れたのか……まだ芸にも危なっかしさがあって、見ていて面白い」
三遊亭遊雀
「あら懐かしいという『わかめしゃぶしゃぶ』をマクラに、『宗論』へ。前日夏丸君が演っていたが、これが真打という出来。爆笑につながるのがすごいね。まあ、夏丸君とは系統も違っていて……」
「余計な解説はいらない……三遊亭笑遊
「顔はともかく、芸に品が出てきた」
「失礼な」
「そうなると、つぶらな瞳が可愛く見えてくるから不思議。女性を演じるのがなかなかいいのじゃ……顔は似合わないのに……」
「本当に失礼だね」
「今日は『締め込み』。夫婦喧嘩をじっくり聞かせるから説得力がある」
マジックジェミー
「これもお馴染みのマジック。酔っ払い(?)のオッサンが妙な乗りで、舞台を荒らしておかしかった」
「さあ、トリは三遊亭遊吉
「この人は同じような口調で行くから……実は眠くなる。よく寝かしてくれるナンバーワンじゃ」
「今日も寝た」
「いや、今日のネタは『小間物屋政談』。箱根の事件から再婚までをテンポ良く行って、お裁きも無駄をはぶいて……これでは寝ている暇もない」
「良かったということですね」
「このところ、満足でしたという席ばかりが続くな。今日も上々の1日でした」


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