7月16日 品格のある落語会

「さて、今日は桂夏丸君の応援」
「これもお馴染みですね」
「神保町のらくごカフェで2ヶ月に1度行われる、恒例の会となりました」
「この日はその3回目」
「それより、何です、右の写真は」
「左から鈴々舎馬るこ桂伸治師匠、柳家わさび
夏丸君のチラシを持っていますね」
「夕方来て、夏丸君早く来てね……という記念写真」
「へえ」
「何かが起こる予感を感じさせるなあ」
「さあ、それで落語会の始まりですね」
夏丸君は今回3席を演じる。まずは『富士詣で』」
「以前どこかで演じていましたね」
「人物も典型的で面白くない噺じゃな……しかし、重い噺ばかり続くと疲れてしまう。そんな合間にはさむといいのかも知れないなあ。今回は噺について見直しが出来た」
「さあ、二席目は」
「そこで写真右のわさびが登場」
「あれ……独演会なのに」
「そう。それで演じたのが『桃太郎』」
「芸協では前座噺ですねえ」
「うん……それがやっぱり一味違う展開で……ただ、子供が精神分裂気味で……これは演者の性格かも……」
「失礼な」
「テンポのすごい変化もあり、ドラマチックなのじゃが、さっきの子供の危なさがちょっと引っ掛かって……まあ、全体ではそこそこということで……」
「中途半端な結論」
「はい、夏丸君の2席目は『釣りの酒』」
「これも前に聞いていますね」
「30数年前に歌丸師匠が演じたのを聞いたな。有崎勉の作として名高いが、これもどうということのない噺……今日は軽いものを集めたのかな」
「はい、ここでお仲入り……その後は」
「またも意外な展開……写真左の馬るこ君が登場……客席は騒然……『引っ込め』『金返せ』という声はなく、大拍手」
「何だい」
「着物を用意しておらず、Tシャツにわさびから借りた羽織を付けて……」
「不思議な格好ですね」
「さあ、それで、先日早朝寄席で演った『たらちね』ということになった。それを聞いたのが、わしともう一人……二人とも納得で……とにかく面白いネタだから、許して当然じゃな。Tシャツの違和感などどこへやら……すっかり怪しい大家の世界に引き込まれてしまった」
「着物も着ていないのに、そんな世界になっちゃうんですか」
「これも大物の素質ありじゃな」
「さあ、それで、トリは」
「独演会なのでトリも何もないが、夏丸君の『阿武松』」
「これも2度目ですね」
「そう、後で聞いたら今日が2度目だそうじゃ」
「どうでした」
「とにかく飛び入りが2人もいたんで時間が押していたのじゃろうか……少し急いでいた感じはあったな……しかし、二人の関取に比べて、主人公が頼りない相撲で、この比較が面白い。それに宿の主人がいい味を出して……」
「上出来ですか」
「そう言っていいな。若いからもっと関取の貫禄が出るといいのかも知れない。若いということはまだ可能性がある。完成していないのも面白いということじゃ」
「何を言っているのか、さっぱり分からないね」
「しかし、いつも思うのは、夏丸君は細いのに相撲が好き。それが落語に生きている感じもある。円生が同じような体型でやはり相撲をよく演じていた。細い人の相撲が面白いのはなぜじゃろう」
「さあ」
「はい、そういう訳で、3人を中心に、ファンの女性4人との打上」
「他に男性はいなかったんですか」
「もちろんいた……が、人数には入れなくていいじゃろう」
「ひどいね」
「そんな訳で、次回は9月の17日、やはり木曜日でございます」
「皆様もぜひ」

 

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