第2回 品格のある落語会

「さて、3月に開催された桂夏丸君の『品格のある落語会』」
「大変に評判が良かったようですね」
らくごカフェで、最年少、芸協初の独演会……と記録ずくめの会じゃった。当然評判が良かったから、2回目の会となった訳じゃな」
「はい。1回目の報告は、本店のブログ・日記からご覧下さい」
「さりげなく、はっきりと宣伝ありがとう」
「で、タイトルもいいですね」
「まあ今更という感があるのは、このブログでも繰り返し言っているように、例えバレ噺でも品を失ってはならないということ」
「はい」
「それとつながっているものを感じて、うれしいな」
「さあ、前回は『城木屋』と『もう半分』の間に歌謡ショーが入るという……」
「若手らしくない演目に、若手らしい我が儘さがはさまれるという会じゃった」
「はは……それで今回は」
「まずは『花筏』。夏丸君は相撲好きで、観戦したマクラから入った。三遊亭円生も痩せていて相撲の噺が好きだったが、夏丸君も痩せている。まあ、夏丸君は円師匠から教わったらしいから、流れが違うかも知れない。これで年齢を重ねると、親方の台詞などに重みが出るのじゃな」
「まだ軽いですか」
「体重といい勝負かな……しかし、決して悪くない。親方が提灯屋さんに話をするのが説得力あり。更に、千鳥ヶ淵に対する親の異見も……いい出来じゃったぞ」
「これで重みが出るとすごいですね」
「呼び出しの場面で、相撲の扇子を使ったのも面白い」
「さて、二席目はお馴染みの『玄関の扉』」
「お馴染みといいますが……」
「そう……2005年に3度聞いたが、3度とも電車が遅れて遅刻したため、頭から聞いたことがない」
「それは前座時代ですね」
「そう……この話は30年……もっとかな……昔、米丸師匠で聞いたことがある。古城一兵の作品じゃ」
「いずれメルマガでご紹介ですね」
「そう、今『け』の巻を配信中だから、もうすぐじゃぞ」
「さりげないCMですね」
「よく出来た作品じゃな。最初の疑われる場面があまりに非現実的なようで、ありそうな世界。お隣の奥さんが土産をもらっちゃうのはありそうで、現実には絶対にないだろうという世界。その錯綜が、見事に落ちにつながっている」
「また、訳の分からない解説を」
「いつも言う通り、落語とは人間ドラマなのじゃな。あり得ないドラマの中で人間の真実を描く。だから演じる人がまずければドラマそのものが生じない」
「難しい話をすればいいってもんじゃないですよ」
「さあ、最後の一席は『質屋蔵』。前半の主人と番頭の会話、小僧が出てきてこれが熊さんとからむ。続いては熊さんと主人の会話……分かりやすい人物とはいえ、主人の風格がないといけない」
「で、夏丸君は」
「素晴らしい……とは言えないが、及第点じゃな。落ち着いた主人と、おっちょこちょいの熊さん。番頭さんと熊さんの掛け合いまで、人物がよく出ていた」
「いい出来だったんですね」
「そうじゃな。この噺、歌丸師匠が鳴り物入りで演じていた。それがないので、お化けが少ないのは残念じゃ」
「そうですか」
「しかし、ここでお化けが相撲をとって、先に出た相撲の扇子が再び登場」
「あら、こんなところにつながりが……」
「後の打上では日馬富士のTシャツを着ていた」
「じゃあ今度は夏丸Tシャツを着て行かないと」
「そう、次回は7月16日の木曜日。2ヶ月に1回のシリーズ化が決定しました。ぜひ皆様もお出で下さい」
「お客さんは」
「まずまずの入りかな……女性の方が多いのはどういうことじゃろう……因みに、打上に参加したのは、夏丸君を入れて男女5人ずつ。つまり、これも女性が勝ったということになる」
「はい、それで飲んで暴れて朝帰りとなった次第ですね」
「そうそう………誰が暴れたって……ちょっとじゃないか」
「はい、本日はこれぎり」

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