5月9日 ろべえ勉強会「東海道中ひとり旅」

柳家ろべえ君の勉強会」
「サブタイトルの『東海道ひとり旅』というのは」
「毎回一歩一歩ということで、宿場の名前を副題としている。江戸・日本橋から京都・三条大橋までの間に五十三の宿場があるのじゃ。スタートとゴールを入れて55回ということになる。ここではお馴染み安藤広重(歌川)の東海道五十三次で紹介しよう。正規の名前とは違うものもある。
 
1 品川、2 川崎、3 神奈川、4 保土ヶ谷 、5 戸塚、6 藤沢 、7 平塚、8 大磯、9 小田原、10 箱根、11 三島 、12 沼津 、13 原 、14 吉原、15 蒲原、16由井、17奥津、18江尻、19 府中、20丸子、21岡部、22藤枝、23島田、24金谷、25日坂、26掛川、27袋井、28見附、29浜松、30舞阪、31新井、32白須賀、33二川、、34吉田、35御油、36赤坂、37藤
川、38岡崎、39池鯉鮒、40鳴海、41宮、42桑名、43四日市、44石薬師、45庄野、46亀山、47関、48阪之下、49土山、50水口、51石部、52草津、53大津
 
ああくたびれた」
「昔の人も歩いて、さぞ疲れたことでしょう」
「それで、この日、日本橋を含む27回目、掛川の宿となった訳じゃ」
「はい」
「ちょうど真ん中……実際の距離はこれからが長いのじゃが……」
「はい、落語会の方はいかがでした」
「ともかく、記念の席ということで、写真撮影を許可していただいた」
「はい、参りましょう」
柳亭こみち「ゲストは柳亭こみち。銀座の落語会に行ったら中止になっていたそうじゃ」
「あら、何かあったんですか」
「それが出演者の都合で急遽中止になったらしい」
「え……出演者って……」
こみちちゃんじゃ」
「おかしいですね」
「いまだに謎は解けていないらしい。こみちちゃんのわがままで……って噂が流れているので、うち消すのに、これからどこの席でもこの話題は聞けるかも知れないな」
「はい、出し物は」
「『転宅』じゃ。さすがに女性の演じ手ということで、泥棒の間抜けさも悪くないが、だます女の描写が見事じゃ」
「上出来ですか」
「落語はやはり男の世界だと思う。女性の噺家は、女性ならではという何かを持って演出しないと……残念ながら、それが現実じゃ」
「女性ならではというと……」
「今日の一席のように女性を見事に描くこと、あるいは女性を主人公とした作品を描くこと。まあ、これが大事な点じゃろう」
「これなら出来そうですね」
「そんなに簡単ではない。『桃太郎』は父親が子供に負けちゃう噺だが、これを母親で演じた女性噺家がいた」
「いいんじゃないですか」
「なぜかな……多分落語の世界では女が強くなければならないのじゃ。だから、母親が間抜けではおかしくない」
「難しい世界ですね」
「あるいは、男を演じてもおかしいと感じさせない実力と年季を摘むことじゃ」
「これは難しいですね」
桂右團治師匠が、この域に達しつつある」
「へえ」
柳家ろべえ「さて、ろべえ君の1席目は『付き馬』。わしにとってはさっきの『転宅』も学生時代に柳家小三治を聴いた印象の強い作品じゃ」
「偶然ですか」
「しかし、演り方が違っている。これは喜多八師匠と小三治の演出の違いということらしい」
「どういう違いですか」
「ここで解説するほどのことではない。手順の違いというくらいのところじゃ。店を出てから客が明るく解説をしながら歩く場面がいいな。相手に口をはさませずに一気に雷門まで来てしまう」
「上々ですね」
「まあ課題はある。これは後で指導しているから、改善されるじゃろう」
「はい、仲入りの後は」
ろべえ君のもう一席、トリなのに『子ほめ』」
「え……前座の噺ですね」
「そう。これはないよな……しかし、前座ではほとんど笑わない噺なのに、面白いのは、それだけ一味違うということじゃな」
「じゃあ許しますか」
「一応可。しかし、こういうものを取り上げるなら、それだけの意義を持たせる必要がある。前座噺とこれだけ違いますよという何かがなければならないのじゃ」
「はい、そういうことで……」
「打上に参加して帰ったのですが……」
「がって……何かありましたか」
「電車で倒れた人がいて……」
「あら大変」
「脳卒中かと思ったが、見てやったら酔っ払いが立ったまま寝て倒れただけ……」
「あら、良かったですね」
「それが、気をきかせて緊急停止のボタンを押した人がいて……」
「あら……それはそれは」
「お前、あら……ばっかりだな」
「……えら」
「無理に代えるな」
「それで、どうしました」
「日付が代わった頃に駅に着く予定だったのに、結局乗り継ぎも出来ずに予定より30分も遅れた」
「災難でした」
「前のろべえ君の会では、西船橋で武蔵野線に乗ろうとエスカレーターを上がると、前を駆け上がろうとした人が倒れて来て……」
「あぶないですね」
「気が付いて支えてやったからいいが、もしその前に気付かなかったら、わしも一緒に倒れたかもしれない……これも酔っ払い」
「大変です」
「それで、結局その電車に乗れず20分待ち、後はつながりが悪くて、乗り継ぎに20分、快速に乗り継ぎが15分……丸1時間も到着が遅れた」
「呪われた会になりそうですね」
「はい、また次回をお楽しみに」


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