4月12日 上野広小路亭

「さあ、今日も上野広小路亭へ」
「今日は日曜日で混んでいたでしょう」
「いや、それが、平日よりもすいていた」
「え……」
「高速道路千円で、天気もいいから、みんな遠出をしたのかなあ」
「あり得ますね」
「さあ、前座から行こう。まず春風亭昇也
「若手ですね」
「まだ芸協のHPにも出ていない。『子ほめ』を演じたが、なかなか筋がいいな。表に出て、おごってもらう相手を探すが誰もいないとか、赤ん坊を見る時の間とか……ちょっとしたところに見所があった」
「大家さんが初物を褒めるのは珍しいですね」
「続いて春雨や雷太で『寄合酒』。こちらは十分に成長の見える高座。犬とのやりとりが面白かった」
「さて、顔付けに出ている人ですね。雷門花助
「『宮戸川』。ちょっとした所でちょっとした台詞が……気の利いた言葉が次々に入って新鮮。見事な出来じゃな。伯父さんも、返事をしてから中の様子を描写するから、最近疑問を持っていた待たされる半七という問題も解決されている」
笑福亭里光
「取手に来てから、土産持参が当たり前になってしまった。出し物は何と『須磨の浦風』。いやあ、珍しいものを聞かせてもらった。人物描写がもう少し磨けそうじゃな」
「はい、やなぎ南玉
「昨年の写真を持って行った。お馴染みの曲独楽
桂文月
「『青菜』、前半の落ち着いた雰囲気が実にいい。演じる人によって微妙にニュアンスが違う世界じゃな」
三遊亭遊吉
「『人形買い』。お馴染みちょっと早口のテンポの良さ。気持ちはいいが、何となくメリハリが不足している印象もある」
新山ひでややすこ
「これも写真持参。夫婦をネタにした漫才で、最後は歌のやりとり。お見事」
三遊亭栄馬
「『金明竹』を『金玉火鉢』抜きで。時間に余裕があるから、前半の上方者の台詞も丁寧」
「ここで仲入りですね」
「最初に言った通り、7割方の入りだったが、初めてという人も多かった。色々案内もして来た」
「はい、食いつきは神田陽子の講談」
「『椿姫』を通しで。原稿を読みながらの初演を聞いたが、今日は全部通した。舌っ足らずなのと、余計なギャグはいただけないが……まあ、この人の型なので……これで7つも年下の人と結婚したとか……」
「そんなことを言っていましたか」
「これは楽屋での噂」
「続いて春風亭美由紀
「こちらはいまだに相手がいないと嘆いている三味線漫談。春らしく『さくら』から『夜桜』、都々逸など……もちろん手土産持参」
「はいはい。三遊亭笑遊
「『悋気の独楽』、小僧がいいな。ガキなのにうさんくさいし、可愛いと思ったらかわいげのないことを平気で言うし……まあ、とにかく面白い」
桂小南治
「これまた珍しい『いかけや』、亡き師匠・小南が得意としていたが、ちゃんと落ちを付けていたな。いかけやから鰻屋に移って終わるから、なんとなくちぐはぐだった。ちゃんといかけやにつないだ落ちが工夫されていたぞ」
「続いては林家今丸
「これまたお馴染みの紙切り。例の『舞妓』から『鍾馗様』、わしのリクエストで『花魁道中』、昨日浅草であったからな……後は『神輿』と『似顔』。切ってもらったから土産に金の延べ棒を渡したら、みんなに紹介してくれた」
「さて、トリは桂米福
「この人の写真もあったが、忘れたらしい。まだ渡していない。ということで本日はこれまで……」
「大家さん、ネタの紹介をしないと」
「あ、そうか……『花見の仇討』、人物4人の描写が面白かった。侍2人の個性も光る。見事なドラマになっていたな」
「はい、そういうことで」
「大満足でした。この後パズルショップ『torito』を訪ね、夜は『ろべえ・夏丸・仙花 勉強会』へ」
「それはまた後ほどご紹介いたします」

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