2月21日 ひだまり寄席

「さて、今日は目出度く、取手のひだまり寄席
「何が目出度いんです」
「今年初めてじゃから」
「……大家さんは一年中お目出度いですね」
「そうほめるな」
「ほめてないよ」
「さて、このひだまり寄席も第4回となったが、最初に計画されたのがこの4回まで」
「いよいよ大詰めですね」
「前回は体たらく、4人が出て間に10分の休みもあったというのに、1時間で終わってしまうという……時間的にも内容でも不満だらけの会じゃった」
「そうでした」
「その割に評判がいいので、次回の公演も決まった」
「へえ」
「そういうことで、今回は顔見知りもいるので差し入れをして……」
「さあ、本番」
「すごい入りじゃったな。用意した百席がほとんど一杯じゃ。まず、最初(はな)は三笑亭夢吉君」
「はい、若手で今生き生きしていますね」
「彼が来るというだけで、今回は成功疑いなし」
「そこまで言う」
「出し物は『初天神』、嫌なガキだが可愛気がなければならない」
「いつも大家さん、そう言っていますね」
「出掛けるまでの夫婦のやりとり、子供も加わって3人の会話……たっぷり演じた。それで時間がなくなったかな……飴を買ってやって、団子屋で突然の落ち……でも、きちんとした落ちに感じさせるのがセンスじゃな」
「べた褒めですね」
「いいものはいい」
「二人目は」
立川吉幸で『家見舞い』。これも丁寧な描写。最初に兄貴分の家でのやりとり、水瓶を買おうとする店での段取り、そこから古道具屋へ移動して……まあ、汚い噺なのでテンポの良さで聞かせないとな。そこにまだ改善の余地があるが、全体には上々じゃよ」
「ここで仲入りですね」
「食いつきは荒木巴
「何者です」
「マジックなのじゃが……なかなかの美形なのに、訳の分からないお笑い系で……」
「訳が分からないから、大家さんとは合いそうですね」
「うん……こわいな……」
「本気になっているな」
そしてトリは桂花丸で『不動坊』。経緯が大分違っている。落ちも全く新しいもので、初めて聞いた」
「良かったですか」
「普通の落ちがいいセンスじゃが……現代に分かりにくくなったので代えているのかな……翌朝上方の『不動坊』をテレビでやっていた」
「偶然ですね」
「これが原典なのかなあ……しかし、動きのわざとらしさ、台詞回し……いかにも上方風なのじゃろうが、わしはちっとも面白くなかった」
「そうですか」
「まあ、花丸の方がいいなあ」
「はい」
「欲を言えば落語家を頼んだ3人をもっと描写してほしいな。屋根に上がってからの会話に人物が現れるが、その前の会話でもっと人物を印象づけていけば面白いと思うのじゃ」
「でも、悪くはないってことですね」
「まあ、第3回がひどかったから……大満足の席じゃった。事前に出演者に発破を掛けただけの成果は出たな」
「はい。で、今回で最終会ですか」
「いや、第5回が企画されている。4月25日、何と、桂夏丸君が登場じゃ」
「え……大家さんが応援している」
「関係者に聞いたが、アンケートで推薦した人がいるらしい」
「ひょっとして、もしかすると……」
「そういうことで、次回も楽しみに」

inserted by FC2 system