1月11日 歌うヴァイオリンとテノールの世界(森下幸路&成田博之)

「あっちこっち行った1日ですが、ようやく最後の予定にたどり着きました」
「田舎者は1度上京すると、いくつものイベントに参加しなければならない」
「名言じゃな……わしの台詞じゃないか」
「1日4つ5つのイベントをこなさないと、年間の目標に届く訳がありませんからね」
「そうなのじゃ。今回おかしいのは、午前中にオペラをやっていた成田さんのイベントに戻って行くことじゃな」
「そういう訳で、『歌うヴァイオリンとテノールの世界』という……妙なタイトルですね」
「ヴァイオリンの森下幸路さん、この方は大阪フィルの主席奏者なのじゃが、オペラアリアを演奏したCDも出している」
「へえ」
「実は昨日の関連で『アヴェ・マリア』が欲しかったのじゃが、予算オーバーで……」
「駄目ですか」
「すでに今月末まで500円で生活しなければならなくなっている」
「頑張って下さい」
「そういう叙情的なヴァイオリンと、このページでもお馴染みになった成田博之さんの共演なのじゃ」
「はい」
「まずはヴァイオリンのソロで『タイスの瞑想曲』、音色の美しさ、素晴らしいテクニック。いや、今まで知らなかったのは失礼……と言うほど見事な演奏」
「そうなんですか」
「続いて成田さんとヘンデルの『ラルゴ』、ヴァイオリンとテノールの掛け合いが実に見事。再びソロでファリャ6つのスペイン民謡』から3曲……『ホタ』が素晴らしかった。曲を知っているので、最初から録音か録画をしておけば良かった……」
「どうしてそう思うんですか」
「最初のピチカートから数種類の音色を使い分けて始まり、弦になると根本と先との音の違いを実に巧みにあやつる。客席が途中でうわあと声を上げるほど素晴らしい演奏だった」
「そんな演奏、滅多にお目にかかれませんね」
「そうじゃな。早くも今年のベスト幾つかに残ること間違いないと確信した」
「大家さんがいつも言うように、テクニックと表現力があいまって、素晴らしい世界を作り上げるのですね」
「そう。続いては『椿姫』から『花から花へ』、前に『椿姫』があったので。間でお話されるのも、とぼけているのか、それが地なのか分からないが、実に楽しい。ヴァイオリンへの愛着と演奏出来る幸せが感じられた」
「いいですね」
「聴いている我々も、そうした素晴らしい演奏に出会えるというのは大変な幸せじゃな。自分が幸せになって、他人にも幸せを分けることが出来るのじゃ。うらやましい」
「その一部でも持って帰ったんだから、いいんじゃないですか」
「そういうことじゃな」
「さて、最後にモンティの『チャルダシュ』を見事なテクニックで聴かせ、最後にレハールの『メリー・ウィドーワルツを、成田さんが男性、ヴァイオリンが女性になって、目を見つめ合って愛を語ったり……」
「怪しい世界ですね」
「最後まで楽しかった。CDは今回のメインとなった声楽曲をメインとした作品『カンタービレ』をいただいた」
「お金は」
「だから、これで残りが500円、もう1枚欲しかったのを我慢したという訳じゃ」
「はい、そういうことで、大忙しだった1日のご報告、これをもって全て読み終わりといたします」

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