12月14日 早朝寄席

「さて、今日もはよから寄席通い」
「はい」
「まずは上野鈴本早朝寄席、二ツ目の勉強会じゃ」
「今年5回目ですね」
「繰り返し述べているが、昔は本当に若手が勉強していて、今なら満員になる噺家が出ているのに、お客さんが10人前後というのが当たり前じゃった」
「そうですね」
「今は百人でも驚かない。真打が決まった人が出ると立ち見も出るほどの入りになった」
「いいことですね」
「いいことじゃが、一方で若手を育てるのでなく、安くて楽だからというので来ているお客さんも多いようじゃ。何でも受けていて、勉強になるのかどうか……」
「はい。4人が登場しますが、全部上々の出来というのは過去4回のうち1回のみでございました。今日は2回目になるかどうか」
「最初は三遊亭金翔で『金明竹』、もう一歩かな」
「あら、いきなり途切れました」
「伯父さんが還暦で、与太郎は幾つなのじゃろうか。年齢に疑問。それから肝心の言い立てじゃが、3度同じ調子。鹿の子等が演っているように、一つは早口で言い、最後の一回は語句を確認しながら……これが後につながるな。全部同じでは単調になってしまう」
「はい。続いては古今亭菊六
「今日は彼を応援に。『火焔太鼓』を演じた。彼との接点の最初は2004年10月23日に流山で行われた菊之丞独演会、翌月も柏で同じ菊之丞独演会……まあ、今日はその時の写真も持参」
「はい、で……落語は」
「素晴らしい出来じゃった。NHKの新人コンクールで残念ながら入選しなかったが、ああいうテレビでは実力は出ないな……抜群と思えたのは小朝菊之丞だけ。今大人気の噺家さんは2位とか入選せずというのが多いのじゃ」
「へえ」
「今日の『火焔太鼓』、話の勢い、人物の心情描写、非の打ち所がない。これで満足しない人はいなかったじゃろう」
「すごいほめ言葉ですね」
「それに値する内容だった」
柳家三之介
「実は、前二人が長いのは、トリの亜郎が寝坊したのじゃ……たっぷりと演ったので、ここは『時蕎麦』でさらりと……しかし、テンポはいいし、後の蕎麦屋が味は悪いが普通の人(?)でやりとりが面白かった。上出来じゃな」
「はい、トリは三遊亭亜郎
「寝坊だということが分かっていたので、『(本当に)待ってました』という声を掛けた。客席では大いに受けたぞ」
「はい」
「昨日までミュージカルに出演、今朝5時に寝たとかで、すっかり寝坊。まずはその言い訳から入った」
「出し物は」
「『だっぺぇ小父さん』。焦っていたのか、あわて者の小父さんと落ち着いた小学生がごっちゃになって……返ってそこがおかしかったのじゃから、上々かな」
「混乱したのがおかしいって、面白い世界ですね」
「大家さん、黙ってましたか」
「それがナマで聞く醍醐味じゃよ。『ドレミの歌』を、子供の好きなもので歌うというだけじゃが、それがいかにも現代を描いていた」
「はい、そういうことで」
「満足度はかなり高い会でございました」
「引き続き、上野広小路亭へ参ります」

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