11月29日 ひだまり寄席

「さて、我が町取手で行われるひだまり寄席。これが第3回となった」
「前回はお友達で、全員にお土産を差し入れたんですが……」
「今回知っているのは美香だけ……しかし、前座じゃし、あまりうまくないと思っていたから……今回は差し入れなし」
「はい、それでどうでした」
「最初(はな)はその橘ノ美香。わしの記憶では一昨年4月に『寿限無』を演っていて、昨年11月に今回と同じ『子ほめ』を演じた。その時、かなり聴きやすくなったとは思った」
「成長が見られたということですね」
「それが、今回、成長を感じなかった。1年の間があったのに、残念」
「続いては、立川談奈
「昨年夏に二ツ目になったばかりじゃ。まあ立川流は変わっているから、普通なら4年で前座が終わるのに、彼は8年掛かっている」
「すごいですね」
「それで『真田小僧』を演じたが……勢いがないなあ」
「勢いですか」
「そうじゃ。だから眠くなる。いい雰囲気で眠くなるのとは違う世界じゃ」
「物足りないということですか」
「そうじゃな。途中で講談の口調を入れたから期待したが、それだけ。折角のこういう自由な会じゃから、本当の落ちまで行ってほしいなあ」
「途中で終わりましたか」
「寄席ではお馴染み。女房に『聴きたいならお前も金を出せ』というもの……それが、その前のやりとりでかなり内容を説明しているから説得力もない。ううん……」
「続いては」
「もうここで仲入り」
「え……前座さんと一席の途中で……」
「そう、始まってから35分じゃ」
「ちょっと早すぎますねえ」
美香が前座として高座の準備をしていたが、客席に気を遣っていた。こういう気遣いは素晴らしい娘なのじゃがなあ……『休憩しなくてよろしいですか』って、たった35分じゃあなあ」
「はい。さて、食いつきはロケット団ですか」
「これは勢いがある。そういえばちょうど息子が帰って来た時、一緒に『笑点』を見ていたら出演していたな。まあテレビにも出るから、勢いもあるのじゃろう。テレビでも、一芸だけの超人気芸人は見るに耐えないが……」
「まあ、満足の行く高座ですか」
「漫才も高座というのかな……いや、本当に良かった」
「トリは三遊亭円福
「これは今年3月に真打になったばかりの円楽の弟子」
「あら……今日はバラエティに富んでますね」
「そう。美香がわしが会員の芸協談奈立川流ロケット団落語協会円福円楽一門会という訳じゃ」
「全員所属が違うんですね」
「そういうこと」
「それで、円福は」
「トリなのじゃが出し物は『時そば』。まあ眠気を誘わず、いい調子で演っていた」
「上々ですか」
「ううん……食べる仕草が今一じゃな。あまり旨そうでない。それに、後の店の屋号を忘れたし……何となく急いでいて……前に出ているのならそこそこ、上々の出来だと思うが、トリとしてはどうじゃろう」
「物足りないのですか」
「うん。あえて言うが、意識が低い。前回第2回のひだまり寄席では、可龍君が二ツ目ではあるがトリとして『幾代餅』を演じた。出来も悪くはなかったが、大きく評価するのは、その意識じゃ」
「今回の一席は」
「そこに不足があったと思う。だいたい、仲入りをはさんで、終演まで1時間13分。これはないじゃろう。入場料千円らしいが、今日のお客さんは損をした気分じゃろうな」
「そこまで言う」
「最近、日曜日に上野鈴本で行われている早朝寄席をけなしているが、あれでも500円じゃぞ。若手の勉強会で同じ千円じゃ。それで何かを出そうとする意識の強さを感じる勉強会に対して、今回の落語の内容は、はっきり不足じゃ」
「はあ」
「皆様もぜひと言っていたが、申し訳ない。次回は2月21日、立川流吉幸がトリになると思うが、共演が芸協桂花丸三笑亭夢吉。今から気合いを入れておくから、今度こそ皆様もぜひ……」
「はい、本日はそういうことで」
ひだまり寄席第3回のご報告でした」

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