11月9日 柏落語会 日向ひまわり独演会

「さて、今日は北柏のたんぽぽホールで行われるひまわり独演会へ」
「はい」
「はいじゃないだろう……『ようよう』か何か言ってほしいな」
「え……何でです」
「たんぽぽでひまわりの会じゃぞ」
「知りませんよ」
「実はすでに5月に真打になっているのじゃが、地元の人の依頼で、この柏で昇進披露をやってほしいということで……」
「はあ、それで半年遅れの興行になったんですか」
「まあ、喜○扇なんか、いまだにダブル襲名やってるから、いいのじゃろう」
「まだやっていますか」
「披露宴が去年の9月5日だったからなあ……」
「1年以上ですね」
「さて、司会が三遊亭圓満、口上に三遊亭圓馬ということで披露口上から」
「本格ですね」
「何と桂文治師匠まで登場」
「へえ……あれ……文治って……」
「そう、2004年2月1日から桂歌丸会長になったが、その前の落語芸術協会会長。任期満了の1月31日に亡くなった」
「その会長が挨拶ですか」
「圓満の物真似じゃ。いやあ、そっくりだったぞ」
「面白いですね」
「本物の寄席では出来ないな」
「それで、演芸ですね」
「圓満が『孝行糖』を演じた」
「この噺家って、大家さんの評価はかなり低いですね」
「そう、『ラブレター』を前の痴楽のまま演じていて、時代錯誤。そんなネタが多かったのじゃ。しかし、二ツ目になってから、自由に演じられるようになったのじゃろう。いい内容のネタを取り上げるようになってはいる」
「で、今日の一席は」
「上々じゃな。『孝行糖』は7月の日本橋亭で認めたところじゃ」
「続いて日向ひまわり」
「今日の主役じゃ。まずは『村越茂助 左七文字』。昔聴いているネタのはずじゃ。徳川家康の優しさ、家来達への異見、よく心情も描いていた」
「これも上々」
「休憩をはさんで、圓満の2席目。枕に『かいやろう』を演じてうなったぞ」
「珍しいネタですか」
「そう。はるか昔、三遊亭圓生が演じていた。ちゃんと受け継がれているのじゃなあ。もう一つ『こちゃえ節』」
「聴いたことのないものばかりですね」
「客席でも未知の世界。わしだって、圓生の録音でしか知らない。わしが先導して拍手を起こした」
「気を遣っているな」
「本題はやはり『豊竹屋』、圓生の型をそのままだが、圓生の真似ではない。本物の音曲をやっているのじゃなあ」
「今日は感心しきりですね」
「さて、トリはもちろん、ひまわりの2席目。『義士銘々伝』から『三村二郎左衛門 苦心の薪割』」
「赤穂浪士の話ですか」
「これも書道が出てくる。『左七文字』は文盲の武士じゃが、こちらは名人の筆。構えから心掛けまで違うのが面白かった」
「いい出来のものばかりですね」
「そういうこと。真打昇進の会だというので、お酒を差し入れたが、お菓子の方がよかったかな……」
「また気を遣っている振りを……」
「もちろんお酒は『○○美人』」
「はい、本日はこれをもって読み終わりと致します」

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